「即興」と「準備あり」のあいだ

 「即興性」絡みでもう1つ。忘れないうちに書いておきます。

 「話すこと」が「やり取り」と「発表」に分割されたことで、「即興」という言葉が急に注目されている感じですけど、実際に「話すこと」として考えられる活動を分類すると、下表のようになりますよね。

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 この話は、2017年に静岡市にお呼ばれしたときに、亘理センセともお話をしてて、そのへんの話は昔のブログにまとめられています。

 で、AやDに分類される活動も、最終的には一番難しそうなCの「やり取り」をやるときの力を下支えしてると思う、というお話でした。しかもAに入るリテリングとか、Dに入るスキットって、教科書をフルに活用できそうな活動なのも魅力的です。

 今回もうひとつ提案したいのは、「即興」と「準備あり」のあいだ、にある活動です。

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  「聞き上手検定」と「しゃべくり7」は、両方ともいわゆるインタビュー活動です。

 「聞き上手検定」は「ALTとのインタビューテスト」ですが、インタビューと聞くとALTが質問するのをイメージしがちですが、この活動では逆で、生徒がALTにインタビューをします。しかも、一つ質問して終わりではなく、1つのテーマについて相手の質問に応じて、継続的に質問を繰り出すスキルが求められます。質問を予め準備しておける点では「準備あり」だけど、インタビュー本番中は「即興」タスクというわけです。

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 話は質問する側が主導権を握れるので自由に質問を投げ込めます。よりスキルが高いALTが相手役を務めることで、言葉のラリーが続けやすくなります。テニスに例えるとコーチとラリーをしているような感じ。もしくは壁打ちしているような感じですかね。

 「しゃべくり7」はグループによるALTへのインタビュー。こちらもテーマを1つ決めて、グループで5分間トーク番組のMCになった気分で、ゲストのALTに質問をしていきます。こちらも、前の質問に対するALTの答えを聞きながら次の質問を選択する、というスキルが求められます。

 「即興性」に注目が集まる中で、どうしても「やり取り」の活動は相手の英語力に質と量を左右されてしまいます。片方をALTなどの「上級者」で固定することで、生徒の力をより伸ばすことができるでしょうし、より正確に測定することができるのではないかと思うので、こういう「即興」と「準備あり」のあいだ、を大事にしていくといいかなと思ってオススメしてまわってます。