「即興的に話す」から「即興的に書く」へ

 先日22日には、西多摩中学校教育研究会の英語研究部会様にお招きいただき、お話をさせていただきました。テーマが「即興性」ということで、時代に即したお題ではあるのですが、最近私に与えられたお座敷テーマ類を考えると、少し遠い感じもします。

 そんなわけで慌てて自分のブログ内の「話すこと」の記事をひっくり返してみたのですが、出てくるのは「2S1Q」や「2S3Q」など、初任校での実践ばかり。あの頃は、ペアやグループで即興的に話す活動をいろいろ考えてたなぁと思い出しました。その実践も、これから「即興」に取り組もうと考えている方々にはお役に立つかも知れませんね。

 さて、この「即興」ですけど、当然といえば当然なのですが、どれも即興的に「話すこと」の活動です。でも、即興的に「書くこと」だってありますよね?

 短いパッセージを読んでコメントを書く。届いたメッセージに返信する。どれも、下書きを書いたりすることなく、話すのとそれほどタイムラグがない感じで、文字で「即興的に」メッセージを伝えているじゃないですか。

 そう思って新学習指導要領解説を読み返してみるとキーワード検索してみると、1ヶ所だけ「即興」という言葉と「書くことを」を関連付けて書いている箇所を見つけました。

 

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 深い意味があって、文科がここにだけ「書いたり」という言葉を入れたのかどうかはわかりません。でも、さっき挙げたようなコメントを書いたり、メッセージを返信したりするような言語活動こそ、現代の子どもたちの英語の(もっと言えば言語の)リアルな使用場面なんじゃないですかね?

 facebookにコメントする、LINEに返信する、Amazonレビューを読んでコメントを書く、Twitterに投稿する。

 中1くらいではまだ文字のハードルが高く、話す活動のほうがスムーズかも知れませんが、中3くらいになると、習熟度の差も開くし、思春期ならではの照れなんかもあって、かえって文字でのコミュニケーションのほうがスムーズだったりします。文字なら、苦手な子もわからない語句を調べることもできるので、習熟度の差も埋められます。だから、私は「文字によるコミュニケーション」をもっと大事に扱ってほしいんです。

 ということで、少し前にエイゴラボという教科書準拠ワークの英作文問題を担当させてもらったんですが、ここではこういった「即興的に書く」活動をふんだんに取り入れています。ぜひご覧になっていただきたいです。

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   一昔前は、逆に「書くこと」のテスト問題なのに人が喋ってる吹き出しにセリフを書かせるような「ライティング問題」があったりして「スピーキングの代用としてのライティング」ばかり目についてそれはそれで気持ち悪かったのですが、SNSの発達により「限りなく話し言葉のライティング」というのがリアルな場面になってきたんだなぁと感じます。おもしろいですね。