英語科指導法の授業で学生に取り組ませている4つの異なるスタイルの模擬授業

 たまには大学でのお仕事の様子も書いておこうと思います。

 

 中学校から大学の教育学部に移りましたので、「教員養成」が今の私の大きなお仕事の1つになっています。おかげさまで3年目を迎え、教科教育法の授業で扱う内容も整理されてきて、自分の中ではやりたいこと、やらせたいことがある程度できるようになってきました。

 

 もちろん緊急事態宣言発令中の都内の大学ということで、いろんなことに気を配りながらになりますし、今はできないことも多少はありますが、私の持ちコマは(教室の大きさに対する履修者数の関係で)にすべて対面授業を実施できています。

 

 ちなみに、教科教育法の授業(本学ではEnglish Teachingという科目)はⅠ〜Ⅳまであり、基本的には2年生、3年生の2年間で履修しますが、この4つすべてを私が担当しています。もちろん、実際にはコアカリキュラムをカバーする様々な内容を扱っていますが、4つの授業のそれぞれで、以下の表のような内容の、学生による「模擬授業」に取り組んでいます。

 

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 一番最初のⅠのプチ模擬授業では、指導案というかインストラクションがすでに書かれているものを配って、そのとおりに正しく(適切に)英語で指示が出せるか、を見ます。自分で考えなくていいので、まずは1曲「コピーする」感じですね。

 

 続いてⅡでは、PPP(Pesentation-Practice-Production)スタイルを学んだあと、実際に1つの文法事項を取り上げて、自分たちで導入と練習の流れを考えます。ペアでやるので、JTEとALTのような枠割分担で、英語によるやり取りを見せる(聞かせる)ことができます。

 

 翌年のⅢでは、教科書本文の扱いを体験します。じっくりと教材研究をさせながら、英語によるオーラル・イントロダクションと、発問の工夫による「和訳」だけに頼らない英文読解の授業に取り組みます。

 

 最後となるⅣでは、5人組での模擬授業に取り組みます。TBLT(Task-based language Teaching)の手法を用いて、自分たちで設定したタスクを中心に50分の授業を共同で設計し、1人10分ずつ責任持ってリレーしながら授業を作り上げます。

 

 特に最後のリレー模擬授業は、タスク設計の段階からメンバー同士でじっくり話し合い、自主的に学内の模擬授業練習用の教室を借りて何度も練習したりして、5人で協力しながら取り組む学生の姿が見られているので、この形にしてよかったと思っています。「仲間とやるから簡単には妥協できない」「(50分という)時間を共有しているので緊張感がある」という声も聞かれます。

 

 私もいつも「1人でやるグダグダの50分を見せられるより、中身の濃い10分が集まった50分を見るほうがたのしい」と学生に言っています。ありがたいことに年々履修者が増えているので1人で50分授業をやらせてあげることはできないのですが、教育実習前の「事前指導」という授業は複数教員で担当するので、少し長めの時間をあげることができているかなと思います。

 

 ちなみにテキストは毎年悩みながらいろいろ試していたのですが、今年から田中・田中の『文法指導デザイン』と『発問テクニック』にしました。学習指導要領関係のことや言語教育的なものは、私が自作した資料を使ってお話しています。(Newsletterのために作ってた「図解」などがここで役立ってます)

 

 教師になってからも手元に置いておきたい本をテキストにしよう、と考えこの2冊にしました。たくさんの実践例はもちろん、役立つ専門的な知識も紹介されていますし、それぞれの授業で私がやらせたいこと(PPPやTBLT、教科書の英文読解)にも繋がりがあるので、これにしてよかったと思っています。

 

英語教師のための文法指導デザイン

英語教師のための文法指導デザイン

 

 

 こんな感じで、いろいろなスタイルの模擬授業を経験した学生たちでも、教育実習は相当緊張するようで、来週以降順次始まっていくのを前に、それぞれ準備を頑張っているようです。全国の先生方には大変お世話になるシーズンになりましたね。コロナ禍の学校現場で実習を受け入れてくださるだけでもありがたいのですが、ぜひビシバシと鍛えていただけると嬉しいです。

 

 今日、「実習校の先生方が、センセイのブログを読んでると言ってました」という嬉しい報告をしてくれた学生がいたので、「学生も読んでくれると嬉しいな」と返したのですが、よく考えたらあまり学生には宣伝してなかったので、このブログを知らない学生も多いかも知れません。そしてそんな話をした割りには全然更新されてないと格好悪いので、久しぶりに更新した次第です。(そんな久しぶりの更新に気づいてお読みいただき、ありがとうございました)