『iPad Workers ノートアプリとApple Pencilの活用』にみる「編集」の大切さ

 英語教育ネタは最近すっかりNewsletterのほうで語っているので、こちらはガジェットとかライフハック的なネタが中心になってますね。そうなるとブログ名このままでいいのか悩ましいですね。

 

 ということで、今日もガジェットとライフハックのお話。

 

 いつも聞いているポッドキャスト「ごりゅごCAST」の五藤晴菜さんよりご恵投いただいたデジタル書籍の新刊『iPad Workers ノートアプリとApple Pencilの活用』をご紹介します。(以下、サンプルとしていただいた画像を使用しています。)

 

f:id:anfieldroad:20210402094542j:plain

 

iPad+Apple Pencil > 紙とペン 

 前半では、ふだんブログやポッドキャストを読んでいる(聞いている)方々にはおなじみですが、デザイナーの晴菜さんが「iPadだけで仕事をすること」を目指して試行錯誤してきたプロセスが語られています。デザイナーというお仕事の方々にとってはパソコンも紙とペンもどちらも重要だと思うのですが、iPad(Apple Pencil)の登場により、そんなデジタルとアナログが自然に結びつく環境が整ったわけで、「iPadだけで仕事をすること」は現実的な選択肢になりました。

 すでにiPad+Apple Pencilは、紙とペンを超えている部分があります。そのことは晴菜さんも文章としても詳しく説明されているのですが、何より本書の中で要所要所に登場するわかりやすい図解(操作画面と解説の手書き)が、そのメリットを具体的に伝えていると思います。

 

f:id:anfieldroad:20210402095436j:plain

 

 

  中盤では、手書きアプリとしてオススメなものを詳しく紹介してくれていますが、晴菜さんが大事にしているのは、その人が「iPadでどういうことをしたいのか」ということです。だから、すべての人に最適解はない、という当たり前のことをちゃんと言ってくれているのが素晴らしいですね。そういうのは英語教育(英語学習)でも同じなんですが、巷には「おれのかんがえたさいきょうの◯◯」が溢れているので、こんなふうに誠実に語ってくださるのはとてもありがたいことだと思います)

 

デジタル書籍のメリットと本書の魅力

 中盤から終盤にかけては、アプリの操作画面やそれらのアプリでできることを丁寧に図解してくれていて、とても参考になります。本当に写真が豊富な一冊です。

 

 今、私もある書籍の編集に携わっていますが、カラーページの数って出版に際してコストに直結するので非常に悩ましいところなのですが、こうしてふんだんに(というか全ページオールカラーで)お届けできるのは、電子書籍の最大のメリットかも知れませんね。

 

f:id:anfieldroad:20210402101701j:plain

 

 関連して言うと、Kindle Unlimitedをご利用の方であれば本書は無料で読むことができます。Kindle Unlimitedは誰でも本を出せるので、並んでいる本はそれこそ玉石混交なわけですが、この本は読む人に「きちんとしているなぁ」と感じさせると思います。たぶんそれは、表紙も含めて紙面のデザインが美しいことと、五藤隆介さんによる「編集」の賜物です。

 

 

 不思議なんですが、ブログとしてだったら読みやすいのに、それが書籍という形態をとった瞬間に、なんだか読みにくくなる、ということはよくあると思います。話し言葉をそのまま文字化しても読み物にならないのと同じで、文章というのはそれが掲出される媒体(形態)に影響を受けるんだなぁと感じます。(むしろ読み手がコンテクストに影響を受けている、ということなんだと思います)

 

 だから「編集」が重要なんですよね。それはポッドキャストや流行りのYouTubeなんかもそうですけど、ただ書いた文章や録音・録画した素材はそのままでは「売り物」にはなりません。「編集」という作業を経て、人に提供できる形になります。

 

 五藤さんご夫妻は奇跡的にそれぞれが文章とデザインの「編集」に長けているので、こうやって自分たちで「売り物」をお作りになれるんですよね。ふつうは出版社の「中の人」がやってくれているので、そのプロセスはなかなか表には出てこないですが、ごりゅご.com(ごりゅごCAST)などではそのへんも語られているので興味のある方はそちらもぜひ読んで(聞いて)みてください。

 

 本書は手書きアプリを中心に解説されてますので、私としてはさらに動画編集アプリであったり、お絵かきアプリのコアな使い方に関することも読んでみたいです。また、文章にしても、音声にしても、画像・映像にしても、iPadで「編集」していると思われるので、そのへんについても語ってくれる次回作『iPad Workers Pro』の登場を勝手に期待したいと思います。

 

 本書は2021年4月2日、本日発売です。よかったらぜひ。(Kindleストアはこちら