放課後 / 東野圭吾

放課後 (講談社文庫)

放課後 (講談社文庫)

 いやー、いつの間にか芥川賞作家ですよ、東野さんも。「白夜行」もドラマ化されるし、波に乗ってますね。個人的にはその「白夜行」「秘密」あたりが好きで、短編も含めて結構読んでいます。

 この人って会話文が上手いのか、下手なのか微妙だなぁと思ってましたが、今回デビュー作の「放課後」を読んで、「ああ、あれでも上手くなってきたんだなぁ」と実感。(笑) 今の方がはるかに上手ですね。私立女子校を舞台に、教師と生徒の会話がたくさん描かれてるけど、(それは自分が学校で働いているからなのか?)すごく会話が嘘っぽい。いや、実際女子校ならこういうノリなのかも!?(本当か?)

 登場人物も、教師を旅行に誘う不良少女、完璧な才女の生徒会長、教師に迫る部活の生徒など、「いかにも」な人たちばかりで、「女子校の先生は大変だなぁ」と思ってしまいます。よかった、あのときお仕事引き受けないで。(笑)

 肝心のミステリーはなかなか本格的。トリックは比較的わかりやすいんだけど、そのトリックをそのまま使わないところが一筋縄ではいかないところ。さらに、あきらかに伏線として挿入されていたサイドストーリーが「こんなところで関わってくるのか!?」というサプライズも。構成力は当時から優れていたんだなぁと思います。

 勤めていた会社の給料が安かったから書いて応募していた乱歩賞で、3回目にして受賞したという東野氏。原点はここにあります。よかったら読んでみてください。