クライマーズ・ハイ / 横山秀夫

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

 ずいぶん前に(たぶんベストセラーになった頃)読みかけてたんだけど、借り物だったので途中で返しちゃった悔しい一冊。文庫化されたということで、迷わず購入。装丁がすごく綺麗で好きなんです。っていうか、この内容と装丁のギャップがまた意図的なのか、本を読み終えた今では色々考えてしまいます。

 「クライマーズ・ハイ」は登山者が興奮状態で、恐怖も麻痺してしまうこと。一気に頂上を目指す。ああ、ぼくもさっきまで「リーダーズ・ハイ」でしたよ。この3連休で一気に読んじゃいました。止まらない。最近読むペースが昔より上がったとはいえ、以前では考えられないスピードです。やはり通知表を前にすると、読書のペースが上がるなぁ。

 (やや説明的すぎる)解説にも書いてあったけど、当時(小説中ではライバル社の)上毛新聞の記者だった作者が、事故そのものをあえて生々しく語らずに、その周りの人間模様を描いています。

 日航機墜落事故は、ぼくが小学生の日の出来事。近くの公園で盆踊り大会をやっていた夜でした。カルピスと焼きそばをもらいに行って喜んで帰ってきたら、TVはこのニュースに染まっていました。しかも、向かいの家のおばさんが病気で倒れてうちの前に救急車が来て大騒ぎになったり、なんだか慌ただしかった記憶が蘇ってきます。大きな事件はそれぞれの人生にどんな風に関わってくるのか。誰もが自分の人生に事件を当てはめながら読んでしまうと思います。

 こうして生きている今も、大きさこそ違っても、やがて事件や時代になっていくんでしょうね。