第三の時効 / 横山秀夫

第三の時効 (集英社文庫)

第三の時効 (集英社文庫)

 横山秀夫の代表作とも呼べる短編集。最初、短編集と知らずに第1話の「沈黙のアリバイ」を読んでいたので、「ずいぶん早い段階から物語が佳境を迎えてるなぁ…」と思った瞬間に、第1話終了。なんだ短編集だったのか、とちょっとがっかりしながら第2話を読み始めると、引き続きF県警捜査一課の面々が登場し、ちょっとにんまり。

 様々な人物の視点からそれぞれの物語が語られてて、短編集とは言い切れない一つの物語としてのまとまりがあります。それぞれのストーリーに散りばめられたいくつかの伏線が、どこかでつながっていく不思議。朽木、楠見、村瀬の強烈な3人の班長の生き様と、それを操る上司たちの焦りがリアルに描かれていて、クールな筆致ながらとっても人間的なドラマになっています。

 「クライマーズ・ハイ」も「半落ち」もよかったけど、個人的にはこれが一番オススメ。あ、デビュー作の「陰の季節」を読み始めました。そちらの感想はそのうち。

 なんか英語教育ネタが少ないですね、最近。ま、いっか。