キキトリン

 中学生段階において、英語を速く正確に書く力を育てておく必要があるなぁと思い始めて、いろんなライティングのトレーニングを試してみましたが、よりシンプルに「書き取る力」にフォーカスした活動にチャレンジしてみました。

 とはいえ、中身は要するに「全文ディクテーション」です。教師が読み上げた英文を生徒がひたすら書き取るだけ。教師は英文を2回ずつ繰り返しながら読みます。英文と英文の間は、一応生徒が書き取るだけの時間を空けますが、あまり空けすぎない方が集中力が途切れなくてよいと思います。ただしあまりに長い文などは発達段階に合わせて、節やフレーズで区切ってあげる必要があるでしょう。

 最後まで終わったら、もう一度確認のために英文を通して読みます。このときは英文の間にはブランクを空けません。

 このあと、スペルや文法をチェックするための時間を1分間とります。個人的にはこの時間がとても大切だと思っています。自分で間違いに気づく力を育てていきたいです。

 そのあとは答え合わせ。自分で教科書と見比べながらチェックしていきます。ペアで交換させてもいいでしょう。あまり雑に書いている生徒なんかはパートナーに「これ読めねーよ」とか言われるので、少しは丁寧に書くように意識付けができるからです。やはり「書いたものは誰かが読む」という前提を毎回設定していきたいものです。

 生徒は日頃からカキトリンなどのトレーニングをやっているので、比較的抵抗なく活動に取り組んでいましたが、いきなりやると難しいかも。まずは「最初の5文でやってみよう!」とか「大事なこの段落をやってみよう!」とかからスタートしても良いかも知れません。私も時間との兼ね合いからもそうすることがあります。ちなみに終わりがバラバラになるカキトリンよりも、キキトリンの方が授業の中でかかる時間が計算できるので扱いやすいです。

 さて、この活動で扱う英文は、やはり内容理解を済ませて、音読をたっぷりやった教科書本文などを使うべきだと思います。意味が分からない英文を聞いても、それは機械的な書き取りに過ぎません。意味を考え、先を予想しながら書き取ることを意識させるためには、中学生には既習の英文の方がよいと思います。

 そして、音読のあとにはライティングがあると知らせておくことで、音読の練習に対する心構えが変わってくると期待しています。

 >>「キキトリン(ダブルス)」も参照