個人の「不自由」が生み出す「共同学習」

 まもなく1,000,000アクセス。

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 さて 本日は県公立高校入試の出願日2日目。

 倍率もとりあえず出たので、なんだか落ち着かない感じ。これまでのんびりしてた子たちも急に焦り始めた感じで、放課後はいろいろ対応に追われました。志願先変更期間は、心揺れる子が多いだろうなぁ。

 そんな中、3年生の授業からはJigsaw学習の報告が続いてます。

 前回の記事では、「Four Cornersもどき」ということで、四隅に貼った紙に書かれている英文を覚えてきて、自席で書き取る、というタスクをやりましたが、これだとあくまで個人作業になってしまうので、某クラスではただひたすら教室内を動きまわる足音だけが響き渡る授業になってしまいました。Four Corners(というかJigsaw学習)のキモである、他者との協同的な関わりを生み出す仕掛けを省いてしまったからですね。

 ということで今日は、本来のスタイルに近い形で実施。(「近い」だけでその通りやろうとしないのは私が天邪鬼だからでしょう) ちょっとややこしいけど備忘のためメモっておきます。

 対象の英文(Readingセクションの1ページ分:約100語)は4分割。生徒もグループの中で1番から4番まで番号を振り4つに分け、それぞれの担当を決めます。

 まず最初に1番の生徒がALTのところに行き、ALTが読み上げる英文(4分割されたうちの1つ)を聞き、覚えて、自席に戻ります。メモは禁止です。ALTは何度も繰り返しますので何度も聞きに行くことができますが、この1番の生徒は筆記具を手にすることができませんので、聞いてきた英文を席に残っている他の班員に口頭で伝え、書き取ってもらいます。

 2番の生徒も同時に席を離れ、黒板の前に行きます。そこには英文(4分割されたうちの1つ)が貼ってありますので、これを読み、覚えて、自席に戻ります。ここでもこの生徒は筆記具の使用を禁止しますので、口頭で班員に伝え書き取ってもらいます。こちらも何度でも見に行っていいので、ちょっとした「シャトルラン状態」に。

 今回はこのように「自分では書けない」環境を作りましたので、強制的に口頭で伝承することを求めました。これで、前回とは大きく異なり、生徒が話す英語が響き渡る教室に戻りました。ああ、個人の「不自由」って他者との関わりを自然に生み出すんだなぁ、と実感。

 6分後に一度終了し、1分ほど自席で相談して英文を整える時間を取ったあと、後半戦に。3番の生徒がALTのところに英語を聞きに行き、4番の生徒は黒板に英文を読みに行く、という流れです。

 これで4つの英文を聞く/読む→言う→書く、という段階を経て、短冊形に切った紙に英文が書き写されますから、最終的にはこれを並べ替えて、ストーリーを完成させる、というタスクに取り組みます。

 6分+1分で、だいたいの英文を書き取れていましたので、整序させるのには不都合はありませんでした。これまでの学習を活かして、代名詞の表している語を考えたり、時を表す言葉などに気をつけて、ちゃんと「考えながら」順番を決めている様子が伺えました。

 英語が苦手な生徒もカタカナで書き取ったり、スペリングを覚えてきて読み上げたり、それぞれのストラテジーを最大限に駆使して参加していました。というか、活躍していました。いつもは極端におとなしいクラスでも、すごく活発に活動している姿が見られました。

 この活動が成立するためには(あるいは、より効果的に機能させるためには)、(1)とりあえず読める、(2)聞こえにくい語も推測して補いながら聞いた英文を再生できる、(3)聞いた英文を素早く書き取れる、といった基礎的なスキルが身につていることが求められると思います。これこそ、(1)教科書音読シート、(2)グルグル、(3)キキトリン(ディクテーション)&カキトリン(音読筆写)といった活動で、継続してトレーニングしてきたことなので、その成果を生徒自身が実感してくれていればいいんだけど。