英語教育2.0とは?

 ブログ名「英語教育2.0」という言葉には、3つの目標、というか英語教師としての3つの願いが込められています。

英語教育をバージョンアップする

 本来はコンピュータソフトのバージョンを示す2.0という数値を、「英語教育」にくっつけてみました。つまりこれまでの英語教育を1.0 とした場合、その1つ上を行く新しいスタイルの英語教育を実践してみたい、という願いが込められています。もちろん、それはこれまで世界中の英語教師が様々な実践を積み上げ、英語教育を1.1、そして1.5と少しずつバージョンアップしてきました。私もそういった変化を、自分が中学生だった頃の授業や、教師になり立ての頃の授業を振り返りながら、日々肌で感じています。

 ただ、2.0という言葉には、1.xとは決定的に違う何かを感じます。コンピュータソフトでも、1.9と2.0では大きく違います。2.0と銘打つからには、そこに作り手の新しい技術や思いが込められていると思うのです。じゃあ、英語教育が目指す2.0ってどんなものなんだろう?と始めたのが、このブログなのです。

英語教師をつなぐネットワーク

 さて、急速に発展するインターネット社会でも「Web2.0(ウェブ・ニーテンゼロ)」という言葉が使われています。ティム・オライリー氏によって提唱されたこのweb2.0は、特定の技術やサービスを表すものではなく、ブログサービスなど誰でも情報の発信者側になることができる次世代のネット環境やビジネスモデルなどを指す、概念的な言葉です。

 Web2.0の延長線上には、google(グーグル)、Wikipediaウィキペディア)やmixiミクシィ)などの新しいタイプのサービスが生まれてきました。これらはすべて「衆合知」と呼ばれる、無名の誰かの知恵によって支えられているサービスです。企業はそのプラットフォームを創り上げたに過ぎません。でもこういった舞台で、新しいアイディアが生まれ、情報が進化していっているのも事実です。そしてただシェアするだけでなく、時に第三者が手を入れ、よりよいものに変えていくようなオープンソースなコミュニティーができあがりつつあります。

 英語教育に関する情報を得る方法はこれまで、書籍やワークショップが主でした。そして、その情報伝達のベクトルは一方向に偏っていたと思います。しかし現在では、web2.0のおかげもあって、誰かが作ったアイディアや教材を瞬時に世界中の人たちと共有し、再利用することができる環境が整ってきました。私はこのブログを通して、多くの英語教師のみなさんと交流を深め、情報やアイディアを交換し、自らを高めていきたいと考えています。そしてこれらの作業が、書籍やワークショップに支えられてきた英語教育の世界のスキマを埋めて、より密度の濃いコミュニティーを創り上げていけると思っています。

生徒と生徒をつなぐ授業

 このweb2.0の考え方を、英語教育(というか英語科教授法)の世界に当てはめてみたらどうだろうか、と私は考えます。生徒たちがお互いに交流し、情報を共有し、お互いに高め合うようなプラットフォームを、授業の中で提供できないだろうか、ということです。「コミュニケーションを重視した授業」ということは、これまでの英語教育でも言われ続けてきたことですが、特に中学校段階では、疑似コミュニケーションというか、生徒の「本当に言いたいこと」を扱ってこなかったのではないか、と思います。

 私は、学習形態の工夫や、スピーキング・リスニングだけでなくライティングの指導により力を入れることで、これまでの1.0な授業のスキマを埋め、その先に新しい形の英語の授業が作れるのではないか、と考えています。このブログでも、そういった授業のアイディアをいくつか提供することができたと思っています。そして、そういう授業の在り方を考え始めると「何十年も前から2.0な授業をされてきた先輩方もいらっしゃるなぁ」とか「これからも2.0の土台となる1.0な部分をしっかりとやっていかなくては」とか、改めて考えてしまいます。