学習形態の工夫

 夏休みということで、リアルタイムな授業の話題もストップ。ということで、前から書こうと思ってたことを、自分の振り返りのために書いてみます。お題は「学習形態の工夫」です。この10年で、私の授業スタイルも大きく変わってきました。

 日本の公立中学校の場合、30人〜40人の生徒を1人の教師で教えることがほとんどです。最近でこそ、少人数授業やALT(あるいは日本人英語教師)とのティーム・ティーチングなども増えてきましたけど、それはそれで苦労をしている人が多いのではないでしょうか。語学の授業なのだから少人数の方がいいに決まってる、と言ってみても、この状況はすぐには変わらないと思います。

エンターティナーとして

 実際、この10年間、私なりにいろいろ工夫をしてきたつもりです。最初の5年くらいはいかに40人を引きつけるか、ということばかり考えていました。エンターテイメント性を重視し、いつも「40人対1人」という構図でした。小道具を工夫したり、印象的な導入を取り入れたり、生徒はある程度「こっち側」に来てくれましたし、多くの「英語の時間は楽しい」と言ってくれましたけど、正直生徒が英語を使う時間は少なかったと思います。果たしてどれくらい英語の力をつけてあげられたかも不安です。(英語を好きになってくれて、自分でどんどん勉強してくれた子たちはいいんですけどね)

司会者として

 学校が変わった最近の5年近くは、ずいぶん変わってきたと思います。英語に興味を持てない生徒を私一人で引き受けるのは正直辛い。やっぱり少人数じゃないと。そう思い始めたので、「少人数」を意図的に創り出すことにしました。簡単に言えば、グループやペアの活用です。

 4人組での会話活動などは、前任校でも多用していました。協力しなければできないようなタスクを設定して、それでいて苦手な生徒が追い込まれないように配慮してやっていたつもりではあります。「2S3Q」あたりがそんな活動の代表ですね。私は、パフォーマーからMCに役職を替え、授業全体を見渡すようになりました。生徒の活動量はずいぶん増えてきましたが、モニタリングとフィードバックが課題となりました。4人組は座席順で組んだグループでしたので、グループによる差が大きかったように思います。

 2年前から多用し始めたソシオメトリーを活用した学習ペアは、そのへんの問題をクリアしてくれる素晴らしい取り組みでした。私は富山の中嶋先生(現・関西外国語大学)の実践を参考に自分でも取り組んでみましたが、勤務校の実態によく合っていて、効果を十分に発揮しました。英語の授業の中にある壁は時として英語そのものではなかったりするんだと学んだりもしました。このペア学習についてはまた次回。

 グループやペアの中で英語の得意な生徒を「活用」するようになりましたが、これも授業のスタイルというかスタンスを大きく変えるきっかけになりました。それまで通知表で言えば3〜4くらいの生徒を対象に授業をやってきたけど、最近は2の生徒のために授業をやっている、と言える内容になってきました。2の生徒をメインにしていても、4や5を取る生徒にも別のタスクを与えることで、今までより(もしくは今までと違った)やり甲斐が授業の中に生まれてきていると思います。

少人数授業では

 ペアやグループを活用すると、極端な話、クラスサイズに関係なくよい授業をすることは可能だと思います。とはいえ、一人一人の成長の様子を確かめながら進めるためには、やっぱり少ないに越したことはないなぁとも思います。今年、2年生で少人数に初めてトライしてみて、改めてそう思ってしまいます。

 ちなみに2年生では、15人くらいの生徒たちが「コの字」型に机を並べて、ペアごとに座って授業をしています。私も「コの字」にフタをする位置に机を置いて、座って授業を進めています。それも正直言って賛否両論あると思いますが、生徒と同じ目線で会話をすることができて、個人的には気に入っています。(生徒がどう感じているかは今度きいてみます ) もちろん黒板を使ったり、TTでモデルを示すときなどは立ってやっていますし、個別指導の時は「コの字」の中に入って支援しています。要は使い分けかなぁと思っています。

 こんな風にいろいろ変わってきた私の授業スタイル。これからの10年で、どんな風に変化していくのか。それとも「これでいいのだ」と思える一つの形が見つけられるか、乞うご期待。あ、自分自身がね。(笑)