COSMOS その5(評価編)

 昨日のお話の続き。

 さて新指導要領を受けて、今後は複数の技能を統合的に組み込んだ言語活動が求められるそうです。特に「読むこと」については、

(オ)話の内容や書き手の意見などに対して感想を述べたり賛否やその理由などを示したりなどすることができるよう、書かれた内容や考え方などをとらえること

という項が追加されました。つまり、「読むこと」が目的でなく、表現活動へのスタートになるということ。アウトプットを意識したインプットをしようということで、まぁ当たり前といえば当たり前なことがあえて謳われたわけです。

 これってまさにCOSMOSの狙うところじゃないですか。

 で、気になるのは、実は昨年度の集中研修研究授業後の協議でも話題になったんだけど、こういう統合的な活動ってどうやって評価すればいいのさ、ということなのです。

 だって、評価計画ではすごく細かい視点が求められ、複数の要素を同時に評価することは無理とご指導されているのに、活動は統合的であることを求められる。だから研究授業の時は、あえてCOSMOSを評価の場面としませんでした。何も評価しない。それは「統合的であるゆえに単純な評価ができない」ということと、「そういう評価とか関係ないところで読んで書く楽しみを味わってもらいたい」という思いからです。

 一般的にCOSMOSが時間内に全然書けない生徒は、

(1) そもそも英文が読めないから何を書けばいいかわからない
(2) 英文は理解できたけど、書きたいことがない
(3) 書きたいことはあるんだけど、どう書いていいかわからない

など、いろいろなレベルの原因が想定されます。(4)そもそも授業に興味がない、ということだってあるだろうし。だから本質的には、そういう細分化した評価は無理だと思っています。

 それで、どさくさに紛れて昨日H調査官にそのへんを伺ってみると、やはり「どこにフォーカスするかがポイント」だそうで、読む力を測るなら書いていることの正確さは求める必要はないし、書く力を測るならみんなが読めるように特に読めていない生徒に支援する必要がある。でもそれじゃCOSMOSのダイナミズムが伝わらない。っていうか、それじゃ違う活動です。

 だから、やっぱりCOSMOSで能力的なものを評価しなくていいんだと思います。ちょっとすっきり、というかホッとした気持ち。

 統合的な活動って、もともと大好きなんです。英語をツールとして実感できるチャンスがいっぱいあるからです。伝わる喜びを感じることができるからです。でも、日本の中学校の英語教育の枠組みではポジションが与えられていない感じがしたこの活動も、新指導要領を迎えてようやく居場所を見つけられた感じがします。あくまで実戦的なトレーニングとして。そしてただのスキルトレーニングを超えた生徒の心に火を灯すものとして。

 まさに2.0な英語教育の、核となる活動に育てていきたいです。