英語教科書2.0

 今日から春休み。

 進路雑務もやっと完了。これで晴れて次の年度のことを考え始められるかな。とはいえ気になるのは校内人事。どうなることやら。

 教科書CDの件が気になってたので、教科書会社さんとお電話でお話。CDを生徒に一括購入させたいけど、1枚(1年分)2500円は高すぎる。無理を承知で値切って見るも惨敗。ま、そりゃそうだ。

 最近、教科書CDを一括で購入している公立中学校はほとんどないみたい。だからこそ、うちでモニター的に全員で使わせてもらうなんてのも提案してみたけど、こちらもよい返事がもらえない。教科書CDを家庭学習で一斉に使わせてみたらこんな成果が出ました、なんて実践こそ現場の「研究」と呼べるのになぁ。というか、そういう具体的で実践的「委嘱」は来たことがないな。ま、そもそも研究のために生徒全員にCDを買ってあげられるような「予算を伴う委嘱」なんて、ほとんどないけどね。

 なんとか他にいい方法はないものかと模索するも最終的に断念。次の改訂時にはできるだけ安い値段で提供してね、という要望だけ伝える。

 今日のやりとりの中で一番びっくりしたのは、「教科書会社は教科書本文の著作権を持っていない」という事実。あくまで彼らは「発行者」であって「著作権者」ではないのですね。「教科書協会」とか、初めて知りました。だからこそ生まれるいろいろなしがらみ。うーん。

 じゃあ、いっそ教科書なんてオープンソースにできないだろうか。

 もちろん教科書検定という仕組みがある以上、オフィシャルなものにはなりえないだろうけど、一部私立中なんかで使われてる「トレジャー」みたいな位置づけでいいので。

 個人的に、教科書に求めているのは「良質な本文」だけなんです。その他のパタンプラクティス教材っぽいページとかは正直要らない。最近はそういう間のページに新出単語とかが紛れてるから、本当に困る(というか怒る)んですけどね。現在作成中の新教科書でも、さらにそういったアクティビティページとかが増えるっぽい。困ったなぁ。別に気に入らないところはやらなければいいんだろうけど、(同じような活動は別にやったとしても)生徒とするとそのページを飛ばすのはやっぱり不安になるもんなんです。

 極端なことを言えば、挿絵すら必要ない(というか邪魔)な時もあります。要するに、教師には「素材」が与えられていて、教師がそれらの中から選んで、望ましい順序で、生徒に提示する。そういう使い方をしたいんですよね、教科書で。今の教科書は教え方まで押し売りされてる気分なんです。そんなに決まったコースを作ってあげないと今の英語教師は授業ができないって、教科書会社や世間は考えているってことなのかなぁ。 

 だからこそ欲しい、オープンソースな教科書。まさに英語教科書2.0です。

 「Wiki教科書」なんてプロジェクトもあるけど、あんなスタンスでできたらある意味では理想的。みんなで各学年のページを執筆して、お互いに校閲をして、ある程度の時点でとりあえず「完成」させる。Lesson構成とボキャブラリの大枠だけ決めといて、コンペ形式で選んでも面白いですね。とにかく、みんなの知恵を集めて、教科書本文を書いてしまう。

 で、書き上がったものを随時書き換えるもよし、またどこかで区切ってエディションを重ねるもよし。たぶんいろんな意見が出てくるだろうから、その主義主張に従って何バージョンかに分けてもいいですね。

 できあがった教科書はあくまで素材なので、二次利用は自由。本文を録音をした音声データをネット上でシェアしあったり、授業で使った教科書「準拠」のプリントをワークブック替わりにシェアしたりと、広がり方はまさに2.0の世界。勝手に本文再現ビデオがYouTubeにアップされたり、単語練習ゲームとかが出回ったりしても面白いなぁ。

 決して不可能な夢物語ではないようにも聞こえるなぁ。英語教師の創造性を刺激する、教科書が作れるといいなぁ。