ふと立ち止まって

 「テスト勉強ハックス」なんて記事を書いててなんなんですが、今月号の「プレジデント・ファミリー」を読んで、なんか複雑な気分に。

 今月号では、子供のやる気を引き出す声かけの仕方などを心理学的な側面から紹介してました。まさに親向けの「テスト勉強ハックス」特集という感じ。でもなんか違和感を覚えるのです。そもそもこの雑誌を読んで子育てに勤しむ親って、それなりに中流・上流意識があるわけで、「うちの子は、同年代の他の子たちより少しでも先んじたい」という意識が強いわけです。残念ながら「他の子たちと協力して」とか「集団全体の向上を目指す」なんてイメージは全然ありません。(そういうことをすれば内申アップです、という書き方ならあるかもしれないけど) 学習が、(少なくとも学校では)集団でおこなわれるというスタンスが完全に抜け落ちてて、自分の子供しか見えていないのが、ちょっと怖いです。

 そして、なんか「子育て」でさえも、マニュアル化されてる感じがしてイヤです。内田樹風に言えば、「いかに楽して(少ない投資で)、効率よく、成果を得る(いい大学にでも入れる)か」というスタンスが感じられるんです。「子育て攻略本」の中で裏技を競ってる感じ。もしくは塾やダイエットの広告と同じような煽り。「苦労しないでこんなに痩せました(成績上がりました)!」 うーん、これでいいのかなぁ。

 親向け雑誌も、ずいぶん棲み分けがされてきている感じがします。「プレジデント・ファミリー」はあきらかにある特定の層を狙ってますよね。本当はあんまり子育てに関心がない保護者にこそ、こういう知識を仕入れて欲しいものなんですが、そもそも関心がないんだから、そういう層向けに子育て雑誌を作っても売れないから、そういう本は存在しないわけですね。だからこそ、公立中学校の役割って大きいんですけど、そういう保護者の方は、あんまり保護者会にも足を伸ばしていただけないのが課題。もっとも、そういうのは、中学校より小学校くらいの時点で、学校から保護者に伝えていきたいところかもしれませんね。