ディベート授業に思う

 最近、県立高校は土曜授業を一般公開しています。この機会を利用して、これまでなかなか見る機会の無かった県立高校の授業を実際に見に行ってきました。

 この日足を運んだのは、共学の県立の某進学校。時間割表を参考にしながら、1年生の英語I、2年生の英語II、ライティングなどを見てきました。

 ライティングでは、ちょうどこれまでに書いた英作文やスピーチを活用して、ディベートに挑戦しているところでした。論題は、全国高校生英語ディベート大会と同じ"Japan should significantly relax its immigration policies.(日本は,移民政策を大幅に緩和すべきであるか,否か。)でした。難しいお題ではありましたが、よく下調べをして、ディベートに必要な基本的なテクニカルタームを取り入れ、全員が自分の発言の機会を最大限に活かして、よく取り組んでいました。

 それにしても、ディベート授業を見る度に思うのは、「的確な反論をすることの難しさ」です。相手の言っていることがよくわからないと、相手の肝を否定したりするのは難しいです。だから論点が定まらず、かみ合わないことが多くなります。私が思いつく主な要因はふたつ。

 ひとつ目は発音の問題。

 結局、聞き取りやすい人の意見は、わかりやすい。英文そのものの質もあるけど、やっぱり発音が綺麗だと伝わりやすい。こういう活動を通して、発音にこだわることの価値や必要性を、実感できるのではないかと思います。(というか、私自身も実感しました) 

 そして、我らがS先生だったら、もちろん生徒の発言の度に発音を直すんだろうなぁ。でもそうしたら、途切れ途切れになって聴いてる方はわかりにくいかな? それとも何度も英文を聴くことになって、かえってわかりやすくなるかな? そんなことを考えながら見てました。

 ふたつ目は論理的思考訓練の問題。

 ジャッジは観点を与えられて評価してはいるんだろうけど、やっぱり「聴いててよく分かった方」を選んでる傾向が強い。もう少しディベートそのものの面白さを味わわせてあげたいとは思いますが、(ESSでもない)普通の生徒たちに授業の中でそこまで求めるのはなかなか難しい。レベルによっては、黒板に論点やキーワードを書いてあげるなど、視覚化も必要かなと思いました。

 さて、ふつうの授業も拝見しましたが、とにかくスピードが速い。学習量はかなり多いと思います。それを可能にしているのが、「プロジェクター」の効果的な活用です。この学校では、英語科のほぼすべての授業で普段からプロジェクターが使われています。

 黒地に白文字で書いた教科書の英文を黒板に投影し、その英文にチャンク区切りのスラッシュを入れたり、下線を引いたり、デジタルとアナログをうまく融合させています。教師が口頭だけで言うより、みんなで同じ英文を目にしながら話し合えるという点では、すごく意義があるし、板書が減らせるのでかなりスピードアップします。

 なにより英語科の先生方がみんなで同じように取り組んでいる、というのがすごい。デジタルファイルはみんなで共有しながらも、それぞれが使いやすいようにアレンジして使えるようにしているそうです。

 高校の生授業を見るのは実は初めての経験。中高の連携が必要だと感じているのに、多くの中学校の先生は見たことがないと思います。そういう意味では、どちらかというと「中学3年生の担任」の気分で見ている自分もいました。

 とっても勉強になった半日でした。