うちの先生が「教案なんて読む必要ない」「授業プランは自分のために立てろ。」という刺激的な記事を書いて下さった翌日くらいに、月刊「英語教育」の次月号予告に「教案」の文字を見つけて以来、gkbrドキドキしながら発売を待っていました(笑)ということで、さっそく「いい授業のために『教案』を書こう」という特集記事を読んでみました。
- 出版社/メーカー: 大修館書店
- 発売日: 2011/03/14
- メディア: 雑誌
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一方で、誌面からは「教案を書くのは大切だよね」という漠然としたメッセージだけが伝わってきて、具体的に苦労している特に公立の先生方に参考になる情報が少なかったように思います。教案そのものよりご自身の実践紹介になってしまっていたり、授業デザインやプロセスになどに偏ってしまっていて、特に一番悩まされる「評価」に関する記述が岡山県の小橋先生の記事の中でくらいしか扱われていなかったのが残念。見ると、来月号が「評価」の特集のようですが、この教案の扱いの中でこそ、議論されて欲しいと思いました。
そういう意味では、付録のように載っている「すぐに使える教案サンプル」の方が面白い。これをもっといろいろ載せてもらって、誰かに俯瞰的にコメントしてもらうような記事の方が面白かったように思います。都道府県ごとに形式の傾向が異なる教案をメタに分析するような記事も読んでみたかったです。その中から、共通するエッセンスを見つけ出したり、教案というものの可能性や限界について考える機会になったと思うのです。
我々公立学校の教員が苦労するのは、前述の評価の問題と、地域ごとに(場合によっては学校ごとに)こだわる「教案の形」の問題。
どうも、特に研究委嘱を受けての発表をする場合、その学校独自の形式で、あるいは言葉づかいで、指導案が綴られることが多いように思います。でもこれが正直不毛。実際に「この形はいいな!」といって、参観者の学校にその形式が広まっていくことは皆無です。自己満足のために、指導案の形式に時間をかけざるを得ないのが実情です。
教科によってもそれぞれの「文化」がありますので、学校で形式を統一しようとすると一悶着あることも多いです。そういう流れから、今号の「他教科の指導案」という記事にも期待したものの、今回は日本語教育のものでした。これはこれで興味深いものの、音楽科や体育科のようなスキルを定着させることをねらいとする他の技能教科ではどんな項目があるのか? はたまた、ちょっと縁遠い感じがする数学科や社会科の指導案ではどんなことが書いてあるのか?なんてことの方が見てみたかったです。
教案にはいろいろな形式がありますが、個人的には「見せるための指導案」としては、「他教科の人が見てもわかる言葉で書く」ということが大切だと思います。そういう意味では、前にもご紹介した埼玉県の総合教育センターでの研修ではよく紹介される「レッスンレシピ」のような取り組みは、広がっていく価値のあるものかなぁと思っています。
英語_10年次_研究授業レシピ(ブログ用).pdf
この形式を考案されたO先生の学校では、研究発表会にて全教科でこの形式の教案を採用していました。どの教科にも受け容れられるミニマムな形なんだと思います。
実際に作ってみるとわかりますが、A4版一枚に収めるためには余計なことをそぎ落とさなければならず、すごく思考を整理できます。細案を書かなければならない時でも、事前にこれを作ることで、そのあとの作業が楽になるので、いつもぼくはこれを使っています。実際、授業中はそんなに細かく書いたものを見る余裕もないですし、授業参観時に廊下に置いておくと保護者にも好評です。
要は「何を大切にするか」ということかなぁと思うのです。価値のあることであれば、たくさん時間と手間をかければいいんだけど、我々の時間も限られている。教案の形式にばかりこだわるのではなく、その中身のエッセンスやエッセンスを引き出す形式について、ご指導いただけるような研修が増えていけばいいなぁと思います。
日々、授業のデザインを考えるのは大変です。何十年も記録を残していくようなマメな作業はたぶんぼくには向いていません。そんな中、この間雑誌で見かけたこのスケジュールメモは便利そう。
活動の長さごとに幅の違う付箋を使い分け、やってみて順番を変えたり、内容を差し替えたりも簡単。最後に写真をとっておけば、データとして残しても行けます。こんなのだったら、ぼくでも続くかも。
あ、また関係ない話に飛んで行ってる。すみません。でもこういう情報の方が、今のぼくには意味があるように思います。教案を活かす授業実践のために役立ちそうなタイマーアプリとかね。ビジネス向けの手帳術特集やプレゼン特集なんかの方が役に立つかも。
なんてことを考えた、「英語教育」誌の感想(とその他諸々)でした。