今日の「めあて」を示すこと

 昨日、小学校の外国語活動の授業を参観してきました。拠点校として、小学校での教科化や中学校との連携を研究している学校なので、すでに文字指導が始まっていたり、スキル的な単元目標が設定されていたり、刺激的な授業研究会でした。

 中学校の英語科教員も加わった授業後の研究協議では、本時の「めあて」を黒板に書くかどうかについて話題になりました。

 特に小学校の授業では、授業の最初に本事の「めあて」を板書して、みんなで確認するのが一般的だと思います。どの授業を覗いても、黒板にしっかり書いてあることが多いです。児童が目標を意識しながら活動をして、授業後には振り返りのポイントとしています。

 中学校になると学校や教科によってばらつきがあるようにも思いますが、それゆえ(特に小中一貫という視点から)教育委員会の訪問などがあると「中学校でもちゃんとめあてを書きましょう」とよくご指導をいただきます。でも、私は前からそういうのを書くことに違和感があって、あまりちゃんとやっていません。(そして、毎回さらにご指導を頂いてしまいます)

 実は今日参観した拠点校でも、小学校ではあるのですが外国語活動の授業では「あえて書かない」という道を選択しています。

 子どもが新しい言葉にふれて感じる「なんだろう?」とか「わかった!」という感動を大切にしたいのに、「今日は I eat〜を言えるようにしましょう!」なんて先に言ってしまっては興ざめだ、という意図を伺って、個人的にすごく共感しました。うん、私の持っている違和感のひとつは、間違いなくそれです。

 「今日は『〜することができる』という表現を言えるようにしよう」と言ったあとに英語の会話を聞かせて「今なんて言ってたかな?」なんて質問をするのは白々しいですよね。中学生なんかじゃ、そういう嘘くささをすぐに見抜いて心が離れてしまうと思うんです。でも、実際には結構そういう授業はありますよね。

 別にいつも書かなくていい(書かないほうがいい)とまでは言いません。その文法事項は導入済みで、ある程度練習もこなしていて、定着度合いを測るような回であれば、「今日はあれをマスターしちゃおう」と目標を提示するのもアリだとは思います。だから、せめて「めあてをあえて書かない回もあっていい」というくらいの空気にはしたいなぁと思っています。

 もうひとつ、「めあて」としてある文法項目の定着を謳うことに抵抗があるのは、「そんなに簡単に定着するわけないじゃん」という思いからです。

 今日教えた表現が今日身につくわけがありません。この単元で、いやこの学期中に、いやいや今年度中に定着するかだって怪しいものです。1年生で教えたことが、3年生で自然に使えてたら御の字くらいの気持ちで焦らずに(逆に言えばしつこく)指導していかないと言葉なんて身につかないわけで、「1時間のめあて」で「使えるようにする」なんて掲げちゃうことに疑問なわけです。

 小学校の先生は真面目なので、教科化されるとなると評価は必要だし、指導案を書くとなると評価計画は必要だし、といろいろお考えになりそうな気もします。もちろん「今日の授業で重点的に指導したいこと」は予め決めて授業に臨むべきでしょうけど、安直に「〜できるようになる」なんて書かないでほしいなぁと思っています。

 Can-Doリストに掲げられているようなものも、1授業の到達目標とは違うものだと思います。言葉だけがひとり歩きしないように、生徒の様子を見ながら、必要に応じて、そして実態に則した目標を掲げていきたいです。