チャイムの鳴る生活

 学校現場を離れて1年が経ちました。

 今も立場を変えて「学校」には行っているものの、生活ペースがずいぶん変わりましたから、1年前の今頃はどんな風に時間を使っていいかわからず、とても戸惑っていました。これまでの習慣で5時半に目が覚めてしまったり、誰も気にしてないのに昼間に私服で外に出て行くのに他人の目を気にしてキョロキョロしてたり。それが1年も経つと(というか、1ヶ月もしないうちに)どうでしょう、すっかり「学生」のペースで生活している自分がいます。

 「学生の頃は何時間でも寝てられたよなぁ」とか思ってたけど、今再び「学生」になってみたら、やっぱり何時間でも寝てられる。うん、これはヤバい。

 ということで、いろいろあって結局何もできなかった春休みを取り戻すべく、4月からは規則正しい生活を送ろうと努力しています。そこで活躍しているのが、この「チャイム!」というアプリ。
  
 appストアで115円です。
 チャイム! - lafl software

 指定した時間にチャイム(ウェストミンスター・チャイム)を鳴らす。ただそれだけのアプリです。休みの日は大学の1限の時間に合わせて9:00と10:30にとりあえずセットしてあって、その時間は「何か」やるようにしています。

 でも、この音って不思議な力を持ってますね。ダラダラしている時間に鳴ると「しょうがねぇ、やるか」という気持ちになるし、がんばって作業している時に鳴ると「わーい!終わりだ、終わり!」とものすごい開放感が味わえます。

 これまで「チャイムに動かされる人間になるんじゃないぞ」なんて偉そうに指導してたり、以前には「チャイムの鳴らない中学校」に勤務してたこともあるけど、今のぼくはこの音の力を借りないといけないくらい堕落してしまっているので、仕方ない。この音に背中を押されながら、なんとか生活習慣を整えたいです。

 そういえば、ノー・チャイムだった前任校での思い出をひとつ。

 生徒の自主性を重んじるためにチャイムの鳴らないこの学校で唯一鳴ったのが、朝8:13になると流れる「千と千尋の神隠しのテーマ曲」でした。この曲はタイマーでセットされてて、8:15になった瞬間に止まります。これがいいんです。遅刻アウト/セーフの判定の問題もあるので、朝の時間は統一した基準が必要でした。でもチャイムは鳴らしたくない。で、音楽をかけたんですけど、これが遅刻防止に結構役立ってたんです。

 朝って、遅刻ギリギリの子が正門に走ってきたりするんですけど、チャイムの鳴る学校だと、チャイムが鳴った瞬間にあきらめて急ぐのをやめてしまう。そりゃそうですよね、もうアウトなんだから。でも、音楽はチャイムより鳴っている時間が長いんです。音楽が鳴っているうちはセーフってわかってるから、あきめずに急ごうとするんです。というか、毎日聞いてるから、曲のどのあたりで止まるかもみんな知ってる。だから、どのくらい急がなきゃいけないのか、感覚的にわかるんです。(あきらかに曲の終わりに正門にたどり着いた生徒については残念ですけど)

 音楽が鳴ると、「あ、やべ、急がなきゃ」って自然に急ぐようになる。いきなりアウトを宣告するんじゃなくて、見通しを示してあげることで自助努力をさせるのに、音楽がとても機能していたように思います。まぁ、外部の音に動かされているという点ではチャイムと同じなので、自主性云々を言うのはちょっと大げさですが、まぁそれは置いておいて。

 一番面白かったのは、文化会館でおこなった合唱コンクールで、休憩時間の終了2分前にこの曲を会場で小さくかけてみたところ、「着席して下さーい!」とか指示を出さなくても、休憩終了時間にはみんな着席できてたこと。無意識のうちに刷り込まれた行動パターンって怖いですね。パブロフ。

 まぁ、ライフハック的な意味で、自分の行動様式に合致するものは、うまく活用してみてはいかがでしょうか。