指導案はA4版一枚にまとめなさい

 今週は教育実習生の授業を参観しに、公立中学校に2校を訪問してきました。

 いやー、中学生かわいいですね。見慣れぬ参観者にそわそわしてしまったり、挨拶に来てくれたり、どちらも素直でよさそうな中学生たちでした。日頃から関わっている先生方のご指導の賜物だと思います。そういう学校で実習ができて彼らは幸せですね。

 さて、それぞれの授業に対するコメントは、本人たちには伝えたし、あとでゼミ生や教職履修者たちと一緒にビデオを見ながらいろいろ考えようと思うのでそこで詳しく語りますが、共通して話題にしたことは、その日扱った新出文型を意味ある状況で使わせていたかどうかということ。

 まぁ、文法項目によっては、教室で使うのはかえって不自然なものもあるだろうけど、今回はどちらもそういうことを考えられる文法でした。(1年生What time is it now?と2年生May I〜? / Could you〜?)

 さらに欲張れば、練習にゲーム性たタスク性をもたせていたかどうか、ですね。思わず何度も使ってしまいたくなる、使っているうちにその表現を自然に覚えてしまうようなゲーム性。その表現を使うことで、使った人が何か生きた情報を得られたり、情報を得ることで何か新たなことがわかるようなタスク性。

 こういう仕掛けを活動や授業に作れるかどうかが面白いんだけど、どうしても学生は授業を開始0分から考え始めがちなので、面白いゴールを設定できない(もしくはたどり着けない)傾向があります。本当は授業開始50分の時点、つまり終了のチャイムが鳴る時に、生徒がどういう状態になっているか、から考えることをスタートするべきですね。ゴールから逆算して授業をデザインする「設計図」が必要になります。

 「学習指導案」はどうしても項目の建て方や文言の書き方みたいなところにそれぞれの所属する地域・教科・宗派の宗教じみた「正しさ」を求めるところがあって書くのも書かせるのもあんまり好きにはなれないんですけど、そういう「設計図」としての指導案にはすごく意味があると思います。

 でもそれだったら、もっとシンプルな設計図にしてみませんか。

 

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 こちらはいわゆる正式な学習指導案ではなくて、そのエッセンスだけをA4版1枚にまとめた「れっすん・れしぴ」です。私の県の5年次研修の指導者(当時の県指導主事)が研修生に書かせていました。

 どの教科の人が見てもわかる、保護者や生徒が見てもわかる、というのがいいですね。そして書き手も指導案の軸になる部分が整理されるので、正式な指導案を(それぞれの宗派のルールに従って)書く段にも、この「れっすん・れしぴ」を先に書いておけば、スムーズに作成できると思います。

 「今日の目標」を決めたら、それを本時の中で「どう測るか」「どうなっていればBか」というのをまず決めます。赤枠のところですね。あとはそれを授業の中のどこに位置づけるか、そのために全体をどういう流れにするか、Bにたどり着けなかった生徒にはどういうフォローをするか、を完結に書くだけ。

 長々とした指導案を年に1枚書くんだったら、こういうのを頻繁に書くほうがよっぽど力になると思います。こういうのが広がっていくといいんだけどなぁ。(この指導主事の方がのちに管理職として着任した中学校では、指導案はぜんぶA4版1枚のれしぴにしたそうです。)

 当時流行っていたこういう本が懐かしいです。 

仕事はA4一枚でまとめなさい (ポケット版)

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情報は1冊のノートにまとめなさい[完全版]

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