質問に答えるということ

 今月号の大修館「英語教育」には、我らがS大学関係者がたくさん登場しています。

英語教育 2011年 06月号 [雑誌]

英語教育 2011年 06月号 [雑誌]

 特集「生徒からの質問にどう答えていますか」では附属中のU先生が疑問文について。同特集内のコラムではS先生が「声を出すこと」について。そして巻末のブックレビューではO先生と揃い踏みです。

 どちらかというと「教師の側の発問」が話題になることが多いご時世に、あえて「生徒からの質問」に着目した特集は面白いですね。どんな質問にも答えられる教師としての高い専門性を身につけないとなぁと感じます。

 でも、ただ専門的な知識を披露したり、生徒が納得する明快な解説をシェアするだけであれば、それこそ連載コーナーにして、いろんな人が毎号解説してくれる方が読み手としては継続的に学べて面白いでしょう。今回、あえて特集という形でそれらを集めたのなら、それらが集まることで学べることにもっと光を当ててもいいように思います。

 最近のこういった「特集」で気になるのは、いろんな人がいろんな意見を言っているけど、それらの集まりを俯瞰的に眺めて「そこから言えること」を書く人がいないことです。そういうメタに読む作業は読者に丸投げされちゃっている。雑誌がブログやTwitterと違うところは、そこに編者の意図や思いが存在することだと思います。編集部なり、誰が偉い人でもいいので、集まったものをメタに読み解く記事を書く人がいると面白いなぁと思います。

 今回の「回答者」の多くは、ただその質問に対する個別の回答・解説を語るだけではなく、そんな質問をしてくる生徒の心理状態や到達段階をメタに読み取ることの大切を訴えている方も多かったように思います。それこそS先生なんて、質問に「答えて」はいませんもんね(笑)「そんな質問(というかあれは相談だよな)しないような状態にしてやればいいんだろ?」というスタンスです。まさに教師の視点ですよね。そういうところが、もっと伝わっていくような紙面構成になればさらに(特に現場の教員にとっては)学ぶところが多いと思います。

 さて全然関係ないんですけど、そんな「S大学特集」な今月号のどこかに、どさくさにまぎれて私の名前も載せていただいています。「関係者」の一員として、とてもうれしいです(笑)

 実はFORUM欄にて、3月号で書いた記事について読者の方からコメントをいただいてたんです。「これから教員になる人」が自分の考えを「書くこと」の大切さを訴えた記事だったんですけど、それに対しての現役学生さんからの投稿でした。このFORUMへの投稿自体が、すばらしい「書くこと」の経験になるでしょうから、さっそく実践してくれている若者がいて、うれしく思います。ちなみに彼は、ブログやSNSですでに「発信すること」に挑戦している人です。(→ブログ「被写界深度2」)それでも「活字になること」の緊張感は、書き手として大きな経験になったと思います。自分の学生時代と比べちゃうと、すごいなぁと感心してしまいます。

 いずれにしても、自分の書いたものに対してこうやってコメントをいただけるのは、本当にうれしいですね。

 ああ、そういう意味でいえば、3月1日に実施して多くのみなさんに参加していただいた「『英語教育ブログ』みんなで書けば怖くない!企画」もぜひまたやりたいですね。6月か7月かなぁ。面白そうなテーマがあったらぜひご提案ください。多くのみなさんが「発信すること」や「発信したものを誰かに受け取ってもらうことの喜び」を味わえるお手伝いができればと考えています。