英語教師のためのKindle講座

 いや、ぼくなんかよりずっと詳しい人もいるでしょうから、ぼくが今さら書くのもどうかとは思うのですが、先日某所でご披露したりしたけど、存在を知らない方も結構いらっしゃったので、せっかくだからご紹介。使い始めたのは最近ですが、こんな便利なものがあったのかと感激している最中なので、全然知らない人のためにKindleの魅力を語ってみたいと思います。

 Kindleキンドル)は米Amazonが販売している「電子ブックリーダー」です。

 形はiPadにも似てますけど、基本的に本を読むこと以外はできません。画面も白黒です。最近発表されたKindle Fireというデバイスは初めてAndroidが搭載され、カラーのタッチスクリーン上でアプリが動く、いわゆるタブレット端末になりましたけど、その他のKindleシリーズはあくまで「電子ブックリーダー」の立場を守っています。この割り切りが、素敵なところです。

 今回ぼくが買ったのは一番シンプルな(一番左の)Kindle、通称KIndle4です。$79で買えるのはアメリカ国内限定で販売している広告の入るモデルです。アメリカ以外だと、広告の入らない$109のモデルになります。本当はタッチスクリーンで操作できる新型のKindle Touchも魅力的だったんですけど、こちらもまだ日本未発売なのと、Touchでない方が薄くて軽くなるのも魅力的で、今回はあえてシンプルなKindleにしてみました。ちなみに日本のAmazon.co.jpではなくアメリカのAmazon.comのアカウントがないと買えません。原則としてAmazon.comによるネット販売のみです。でもぼくの場合、注文してから1週間くらいで届きました。

 前モデルのKindle3まではキーボードがついていましたが(現在もKindle Keyboardとして販売は継続)、キーボードなしの方が画面も大きくなっていいのでは?と思ってキーボード無しにしたんですけど、画面の大きさは変わってませんでした(笑) キーボードがない分、全体的に小さくなっただけ。まぁ、それはそれでいいんですけど。

 さて、じゃKindleで何ができるのか、何が魅力かを挙げてみます。

(1) 本がすぐに買える

 KindleiPadと同じようにWifiモデルと3Gモデルがあります。Wifiモデルは無線LANが繋がる場所なら(あるいはPocket Wifiなどがあればどこでも)、3GならいつでもAmazonKindleストアにつながって、そこで本を選んでダウンロードできます。だいたいダウンロードは1分くらい。これが魅力的ですね。もちろん現在は英語の書籍のみです。

(2) 安い

 紙媒体と違って、印刷や製本、配送コスト、在庫リスクなどがないために、基本的にかなり安いです。話題のSteve Jobsの伝記であれば、

日本語版(上下巻) 1,995円×2
英語版(ハードカバー) $17.88
Kindle $11.99

とかなり割安です。というか、日本語版高すぎないか?(もっとも、英語版(ハードカバー)は定価は$35.00なので、定価で比較すればそれほど差はないのですが、この売値はなんなんでしょうね)

(3) E inkが見やすい

 iPadなどの液晶と違って、E Inkでの表示です。ちょっと文字が浮き出て見える不思議な画面で、ホントに紙に印刷されたみたいなので、長時間眺めてても目が疲れません。屋外で見てても反射しないのも魅力的です。デメリットは、暗いところでは読めないこと。これは普通の本と同じです。節電で電車内が暗かったりすることもあるんで、そういうところでは読みにくいのは確かです。

(4) Kindle Singlesが魅力的

 さて、さり気なく魅力的なのはKindle Singlesというものです。前述のようにKindleストアでいろんな本が買えるんですけど、Kindleでは人気作家の新作短編をバラ売りしてます。これが意外によいです。Kindle Singlesには”New Yorker誌の記事の倍ぐらいの長さのものや、ふつうの本の2〜3章ぶんの長さのもの”、つまり、だいたい5000語から30000語ぐらいまでのコンテンツ(だいたい30〜90ページ)が並びます。お値段も99セントから4ドル99セントくらいまでなので、ちょっとしたスキマ時間に気楽に読むものを探せます。意気込んでペーパーバックを買ったけど挫折、とかにならないのでいいですね。(もともとKindleでは第1章だけお試しでダウンロードして「試読」もできます)

(5) ネットもPDFも

 Kindleは一応ネットにつながるデバイスですので、Kindleでウェブページの閲覧も可能です。日本語フォントは結構笑えますけど、まぁ読めます。しかも3G版は通信料をAmazonが全部負担してくれてますので、画面は白黒で、日本語フォントも微妙ですが、それでもよければ、これだけでネットも使い放題、とも言えます。(3G回線の接続条件は日本とアメリカ国内でちょっと違うっぽいので、このへんは要確認です)

 iPadなんかにもKindleアプリがありますが、そちらともシンクロするのが便利です。読みかけのものは栞が挟まれて、別のデバイスで開いてもすぐに続きから読めます。下線を引いたり、書き込みしたりもできて、それらも共有できます。ネット上の「みんなが下線を引いたところ」を表示することができるのも面白いです。

 またPDFなどの文書も表示可能です。でも拡大・縮小は自由にできるものの、操作性は今ひとつ。なので、PDFリーダーとしては超優秀なわけではありませんが、一応読めることは読めます。このへんはTouchだと操作感が変わるのでしょうかね。論文PDFを入れてお勉強に使おうとも考えましたが、ちょっと苦しい感じです。とはいえ、折に触れて確認したい文書などは、フォントを大きめにした文書をPDF化してKinldeに入れておけば、出先でも気軽にチェックできます。ちなみにパソコンにUSBケーブルで接続すると、USBメモリのように認識されるので、PDFファイルをドラッグ&ドロップするだけでKindleにファイルを入れることができます。便利便利。 
 
 ということで、Kindleの魅力を語ってきましたが、記事タイトル通り「英語教師のための」ということになると、これを授業で活用するというよりは、学習や趣味のために英語に触れる機会を増やせるデバイスとして、魅力的なんだと言えるでしょう。Kindleは教材にはなったとしても、教具にはならないでしょう。それでも、英語教師にとっては、すごく魅力的なツールなんじゃないかと思います。

 英語が好きで、英語を使った仕事がしたくて、英語教師になったはずなのに、社会人になってから英語を読む量が減っていました。仕事で使う以外には、ほとんど触れていなかったといってもいいかも知れません。たまたま大型書店に行ったときに洋書のペーパーバックを買って、朝読書でドヤ顔で読んでみたこともありますが、ぶっちゃけあんまり続かなかったです。今、大学院に来て、たくさんの英文に触れる機会を得ました。気軽に、安く、少しずつ買って読めるKindleを最大限に活用して、今後も英語を読む習慣を維持していきたいものです。