定期テストの観点別問題をそのまま評価・評定に使うことに潜む危険

 中学校では定期テストの問題を観点別に作成することが、だいぶ一般的になってきたように思います。

 「英語を読む力を問う問題」「英語で書く力を問う問題」など、大問ごとに測定したいスキルを限定して(絞って)問題作りをすると、その問題がどんな能力を測ろうとしているのかを考えることになりますし、その問題が解けるようにするためにはどんな授業が必要になるのかを考えるきっかけになります。

 で、その大問ごとのスコアを、観点別評価の枠組みに当てはめて、評価・評定をつけようとするわけですが、その点に関して以前からちょっと気になっていることがあります。

 例えばライティングセクションの解答が白紙だったからといって、その生徒が本当にライティング能力がないとは言い切れないのではないか、ということです。例えばその生徒は文法・語彙の問題を解くのに時間を取られ過ぎて、ライティング問題に取り組む時間がなくなってしまっただけかも知れない。

 反対に、ライティングが苦手だから先に取り組んだものの、そこに時間がかかりすぎて、読解問題が終わらなかった生徒もいるかも知れない。それでも我々は、それぞれのセクションのスコアをその技能に関わる観点の「能力」や「知識」だと決めつけて、評価してしまっているわけです。結局「どういう順番で解答するか」「どの問題にどれだけ時間をかけて解答するか」といったテストを受ける上でのストラテジーにも影響を受けてしまうので、これでいいのかなぁとずっと疑問に思っていました。

 でもこれを解決するためには、解答時間をセクションごとにコントロールすることが必要になります。

 リスニング問題は放送が終わってしまえば解答はできないので、解答時間をコントロールするのは容易ですが、その他は難しい。どうしてもやるなら、他の問題も解答時間を設定して、そのたびに解答用紙を回収するしかない。例えば読む・聞く・書く・文法語彙の4セクションそれぞれについて回答時間10分ずつの問題を作って最初に全部配布→10分ごとに1セクションずつ回収、という感じ。(回収に関わる時間も試験時間に含めると、50分で実施は可能)

 ただ試験監督者にそれだけの作業をお願いするとなると、他教科の先生方にもご協力いただくことになるので、ちょっとした下準備(や根回し)も必要になりますね。若干顰蹙買いそうな不安もありますが…(笑)←ただでさえ、日頃から「英語の授業はうるさい」と顰蹙買ってるかも知れないのに…(笑)

 そして解答用紙が複数枚になってしまうことを考えると、ちょっと工夫が必要ではあります。音声による指示で、「終わっていなくても全員次のセクションに行くように」徹底できるなら、回収までしなくても十分かも知れません。(そこまでこだわりだすと、早く終わって先のセクションに行くことを許すかどうか、もカギになりますね)

 あ、でもぼく現場に戻ったら今度はたぶんちゃんとしたマークシート用紙を使おうと考えているので、リスニング、読解、文法・語彙問題の一部はマークシートで、英語を書かせる文法・語彙問題とライティング問題は記述式の解答用紙で対応しようと思ってます。開始後30分でマークシートを回収して、後半は記述式みたいに、一度だけの回収(切り替え)くらいなら、実現できそうな気もします。

 解答時間を正確にコントロールするためには、予めリスニング問題から途中の指示までをGarageBandで1時間分録音&編集してCDを作っておけば、流しっぱなしにして試験を実施できますね。こういう工夫はいろいろできそうで楽しいですね。

 なんかこの手の話を、誰かがどっかで書いていたような気もするのですが、思い出せない…。センセの本だったかなぁ…。読み返すといっても、そういう文言だけ探しだすのは結構大変ですよね。こういう時「自炊」してあると、検索できて便利なんですけどね。うーん、モヤモヤする。誰かご存知でしたら、あるいはこの手の問題の解決アイディアがありましたら教えて下さい。

英語テスト作成の達人マニュアル (英語教育21世紀叢書)

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無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る―正しい問題作成への英語授業学的アプローチ (英語教師叢書)

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英語のテストはこう作る

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