「正確さ」と「流暢さ」のあいだ

 先日のサークルの振り返りがまだですが、先週の授業での取り組みを忘れないうちにメモメモ。

 3年生で、「COSMOS」を始めました。「匿名掲示板風自由英作文」とか「紙上Twitter」とか呼んでた、アレです。(参考:「COSMOS その1(はじめに)」

 いわゆる入試問題風「自由英作文」には今年度も授業中に何度か取り組みましたが、そもそもお題が提示されて(強制されて)いる時点で、ある意味「自由」じゃないですよね。この「COSMOS」はホントに自由。生徒指導上トラブルにならないようなことであれば、何を書いてもいい、という活動です。あ、でも「書かない自由」までは保証できません(笑)授業ですから。

 で、これまでの「COSMOS」は完全匿名性でやってきましたので、教師でさえ誰が書いた作文かわからない、という課題がありました。もちろん、そこまで匿名性を守るからこそ、面白い作文を引き出せたのかな、とも思っています。ただ、明示的なフィードバックができないこと、個人のがんばりが蓄積ができないこと、については自分でもなんとかできないものか思案していました。

 そこで、今年度スタートした「COSMOS」では、「意味順ノート」に英文を書かせることにしました。で、そのノートを回収してALTがチェック(個別フィードバック)→タイピングという流れです。教師に対しての匿名性はなくなるものの、書いた英文に対するフィードバックは受け取れる、という形にしてみました。

 さらに、できれば「ALTが直してくれた正しい英文をノートにもう一度書く」とか、さらに「ALTが直してくれた自分が本来書きたかった英文を、今度は何も見ないで再生する」みたいなタスクを課すことで、「書かせっぱなし」ではないライティング指導につなげられないか、と考えています。こういう繰り返しや蓄積が可能になるのは、ノートを使うことの強みかなと思います。

 で、実際に何クラスかで始めてみましたが、初めてにしてはまぁまぁ書いてくれてるかな。この活動は実は第1回が一番難しくて、「何でもいいから、何か書け」ってのは生徒には辛いはず。第2回以降は誰かのつぶやきにツッコミを入れればいいですからね。書くことにはそれほど困りません。それでも、1回目から(別に入れ知恵もしてないのに)「Who am I?」クイズを勝手に始めちゃう生徒もいたので、今後が楽しみかも。

 最近のぼくの授業を振り返ってみると、こうやって完全フリーで英語を使わせる活動と機械的にトレーニングする活動に二極化してる気がします。これまではそれらが融合したような(言い換えれば「どっちつかずの」)いわゆる「コミュニカティブ」な活動が多かったので、自分の中ではずいぶん大きな変化です。果たしてその2つが有機的につながっていくかどうかが気になるところです。

 そういう意味では、音声指導においても「正確さ」重視の発音練習と「流暢さ」重視の教科書リプロダクションを併行して取り組む予定ですから、文字に限らず音声においても「正確さ」と「流暢さ」のあいだをどうつなぐか、が今年のぼくの課題になりそうです。