お盆休みですが、というかお盆休みなので、本を読む時間も少しは取れますね。少し前に購入した評価に関する書籍をぱらぱらと。
ひとつは国研の評価資料に準拠したこんな本。

観点別学習状況の評価規準と判定基準 中学校外国語〈平成24年版〉
- 作者: 北尾倫彦,山森光陽,鈴木秀幸,松浦伸和
- 出版社/メーカー: 図書文化社
- 発売日: 2011/11/01
- メディア: 単行本
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この本は、埼玉県にも悉皆研修で5年連続で講演にいらっしゃった広島大学の松浦先生が中心となって書かれています。講演で「ダメダメ問題」連発してたあの先生です(笑)あのときは主に、定期テストなどの項目応答型評価の妥当性を語っていらっしゃったと思いますが、この本ではパフォーマンステストなどの課題解決評価を中心に授業内での評価のあり方を論じています。背景には新学習指導要領から「思考力・判断力・表現力」という評価の枠組みが加わったことがあるでしょう。
作っている方々のお立場などを考えると、文科省寄りの「お達し」みたいな本なのかなと思って買ったのですが、数字の扱いなど、統計的な意味合いもちゃんと押さえてあって、前述のような3つの視点から考えてもバランスのいい本だと思いました。評価場面の具体例も豊富です。
教職課程や教員研修などで、この本をテキストにしてじっくり勉強する機会があればいいんですけどね。なんだかんだいって、評価って教師にとってもブラックボックスで、みんな不安を感じながらやってるでしょうから、こうやって具体的な例が示されていることは意味があると思います。
個別に疑問に感じた点については、また別の記事で。
さてもうひとつは北原先生の「幹」シリーズのテスト編。

- 作者: 北原延晃
- 出版社/メーカー: ベネッセコーポレーション
- 発売日: 2012/04/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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内容は北原先生の使用した実際のテスト問題と解説、模範解答、テスト返却時の解説や生徒へのメッセージ、成績の分布など、そしてテストを受けた生徒の感想といった構成。これだけの量を保管・整理して、なおかつ公開してしまう懐の深さに感服いたします。
とはいえ、いろいろ気になるところもあります。
個人的にはやっぱり「表現の能力」を測る問題に目が行ってしまいます。例えば1年生の1学期では、単純な穴埋め問題が出されてますけど、それって「言語文化の知識理解」じゃないですかね? 他にも「長文の中の英文を否定文に書き換える問題」なんかも「表現の能力」に混ざってて、全体的に文法コンシャスだなぁと感じます。(実践を伺う限り、そういう授業なんだろうなぁとは感じていましたけど)
英作文の採点についても、いわゆる「1文2点で正しい文を採点するからたくさん書いてね」方式を採用してて、まぁその方式のメリットや波及効果はわかるんですけど、「表現の能力」に関してはそれでしか測らない、というのはちょっと乱暴な気もします。せめて中3のテストでは、複数の文のまとまりや文と文のつながりも評価する項目があっていいし、そもそもprompt自体がそういう風に追い込むタスクであるべきだと思います。おそらく高校入試の英作文採点はそんな感じなんだろうけど、定期テストだからこそできることが(あるいはするべきことが)、もっとあるように思います。
この本の後半では、パフォーマンス・テストについてもスピーチやインタビュー・テストのトピックや評価規準が公開されています。トピックがやや自己表現に偏っている気もしますが、授業と連動して相当練習させていることが伺えます。これらのパフォーマンス・テストは、全体的に「意欲を継続させること」に重きを置いているように感じます。
評価規準に関しては「A=発音も内容もネイティブ並みである」などちょっと(というかかなり)曖昧なのが気になります。別のページでは「発音コンシャスをつくる」という取り組みを紹介していたりしますから、こういうパフォーマンス・テストの評価にもうまく組み込んでいければいいのになぁと感じました。表現の良し悪しは別にして、先生が考える「ネイティブ並み」が生徒に伝わってるならいいんですけどね。このへんは、自分も含め広く中学校教員が抱える教育評価に関する課題だと思います。
いずれにしても、問題を見る限り、生徒にたくさん勉強させているなぁと感じます。そういう仕掛けや授業の一端が垣間見られるテストたちでした。自分のテストと比較しながら、もう少し考えてみたいです。