「発表」と「やりとり」のハイブリッドなスピーチ指導

 先日、三郷市で私たち埼葛中英研が主催する授業研究会がありました。

 私たち事務局も準備段階から授業者と一緒に構想を練り、いろいろなリソースを提供しながら、授業を作っていきました。授業者と埼葛地区の先生方に少しでも学びを還元したいと思って、毎年こんな風に開催しています。今年は、全校の教育活動ででトニー・ブザン式マインドマップを取り入れている中学校で、マインドマップを用いてのスピーチ指導、という意欲的な授業を公開していただきました。

 指導者にはなんと、以前にずっとお世話になっていたT部長ことT教頭先生をお迎えして、授業へのコメントだけでなく、プチ「教師のためのマインドマップ講座」まで開催していただきました。こんな素敵な企画が実現して、本当に嬉しいです。T部長、本当にありがとうございました!

 さて、スピーチと言うと、まず日本語で原稿を書く→英語に直す→音読練習→暗唱→発表、というのがよくある流れかもしれませんが、授業者のH先生はそれをずっと疑問に感じていたそうで、もっと自分の力で英語を組み立てて話そうとする生徒を育てたい!と今回の授業を組み立てました。

 ということで、今回は「スピーチ」といっても、マインドマップに書き出した自分のアイディアを見ながら、その場で英語にしながら話す、という活動です。スピーチでありながら、preparedというよりimpromptuな感じです。新学習指導要領では「話すこと」を「発表」と「やりとり」に分けましたが、「発表」という形式でありながら、「やりとり」と同じような即興性が求められる、というハイブリッドな活動です。レベルが高く感じるかもしれませんが、私はこういうのこそ、中学生の学習には効果的だと思っています。

 さて、授業のあとの研究協議では、「先に型を教えたほうがいいのでは」というご意見も出ました。なるほど、それもわかります。で、このタイプの指導では、モデル文を与えて内容語のところを置き換える方式を採用することが多いですよね。でも、私が思うのは、そもそも1文をどうやって組み立てるか、という「型」こそ教えてあげないといけないんじゃないかなぁ、ということです。(その部分が、今回の授業にももっと求められたかもしれません)

 これって即興系のスピーキング指導でも同じですけど、とにかくたくさんしゃべらせる派(たくさん書かせる派)の人たちは、そもそも生徒たちに文を組み立てさせるための足がかりをちゃんと与えているのか、という疑問が残ります。というか、あまり吐き出させた英語の質を問うてない気がします。

 その割には、スピーチの中で最近習ったばかりの文法事項を使わせたがる傾向もあります。どの文法項目を使うかよりも、どの文法項目でも共通するポイントをまずは指導して定着させようよ、と思うのです。だから「それぞれの文が前よりまともに組み立てられたか」ということがスピーキングの評価基準になっていくべきだと思うんです。

 そういう意味では、かなり極論ですが、「意味順がしっかりできていれば『正確さ』については満点でもよくて、それ以上の細かい文法事項については、『適切さ』の観点で扱ってしまう」というのもアリなのかも知れないなと思いました。言いたいことを伝えるために適切な表現・形式を選べた、という意味で。

 CEFRどうのこうのより、日本人学習者の到達度が「こっちの生徒の発話のほうがより上(マシ)」と言うための指標を、中高英語教師あたりで共有しておく必要があると思います。それ抜きで、入試に英作文とかスピーキングとか導入されても何測られてるかわからなくて怖いだけです。

 思うところは多々ありますが、それでも個人的には、高校まで巻き込んで「四技能をバランス良く」というお題目が全面に出てきている流れは歓迎です。面接や作文の力が評価されていくということもです。ただし、理解や表現を支えるためのツールとして機能するように文法がちゃんと教えられていけば、という条件が付きますが。

 そういう意味で文法の定着って行きつ戻りつだし、今教えたことが今定着するわけでもないから、「定期テスト」という枠組みで、一定期間に教えたことの理解度を測るテストは、学習意欲を阻害しかねない。だから定期テストの合計点から英語を外してもらえないものかな、とよく思います。技能教科扱いで。

 今あちこちで作ってるCanDoリストも、結局は文法シラバスに則った「その時期に習ったことが使えるかリスト」に過ぎない事例が多い気がするので、もっとざっくりと俯瞰して、「イマココ」がわかるような指標があればいいのになぁ、と思います。

 ということで私は目の前の生徒たちに対して、「意味順間違えなくなったねぇ!」「ああ、『いつ』の変則的な使い方までマスターしたんだ!」「そんなに長い名詞のカタマリが使えるようになったんだね!」みたいな成長の段階を、ちゃんとキャッチして伝えていきたいと思っています。