三人称で自分史を書く

 いよいよ3年生3学期の授業が始まりました。

 授業数をカウントすると、一番少ないクラスで残り26時間くらい。 入試もあるので、文法事項の総復習もしながら、読む、書く、聞く、話すをバランスよくやっていきたいです。

 前半は2学期からやってきた時間制限ありの長文読み取り練習。長文といっても今日は45語程度。だんだん長くしていきます。今日の素材は会話文だったので、そのあとにそのテクストをモデルに一部変えながらの即興会話練習。キーワードが変わると、会話の流れがどう変わるのかを考えさせながら話させてみました。

 後半はライティング「プロジェクト」のガイダンス。

 もともと教科書の最後には、「自分史を書こう」というプロジェクトが設定されてます。「過去」「現在」「未来」という3つのセクションにそれぞれ自分の思い出や現在の状況や自分の夢を書き込んでいって、まとまった量の英文に仕上げる、というプロジェクトです。使用される時制もいろいろで、まさに中学校英語の総決算、という位置づけなのでしょう。ドストレートな「自己表現」活動です。

 ぼくはどうしても一捻り入れたくなってしまうので、ちょっとアレンジしてこのプロジェクトをスタートしました。

 アレンジした条件のは次の2点。

 1つめは、「20年後、35歳の自分」を題材にした文章を書かせることにしました。枠組みは教科書と同じなんだけど、「現在」として語られるのは「35歳の自分」になるわけです。

 「過去」にあたるのは生まれてから中学生になるまでの「リアルな過去」と、この中学生時代のできごと全部。そして、この先20年間の未来も「過去形」で書くことになります。

 理由としては、正直それほどドラマチックでもない中学生の日常を、英語で書いて、誰が面白がって読むのか、という点。友達が読むにしても、私が読むのにしても、やっぱりドキドキが欲しい。ということで、あえて「架空」の要素を取り入れてみました。

 2つめは「三人称で書くこと」です。

 どうしても中学生の「自己表現」というと、一人称の「"I"メッセージ」に偏りがちです。その割には、特に3年生の教科書で読ませている英文は三人称で書かれた誰かの伝記などばかり。個人的にはこのギャップが気になっていました。

 一人称で自分を語れることはもちろん中学生の目標でしょうけど、(定着しているかは別にして)もうそれには飽きている子たちがいるのも確かです。小学校から外国語活動が始まってなおさらです。

 内容は何度も表現してきたものと同じだとしても、人称を通して少し客観的に自分の過去や現在を見つめることができるのではないか、とも期待しています。未来を語るにしても、ちょっと気恥ずかしさが紛らわせるんじゃないか、とも思います。まぁこのへんは実際に書き始めてみないとわかりませんね。最終的には教科書1レッスンよりは長い「まとまった英文」にしたいです。

 あ、生徒にはもうひとつ「条件」を出してました。

 それは20年後の自分がある程度"happy"であること。別に大スターになったみたいな話ばかりでなく、まだ夢を追ってがんばっている姿でもいいんだけど、どこかに希望が感じられる展開がいいよね、という話をしました。これは中3最後の授業で同じように未来の自分を書かせている秋田のO先生の実践から。中学生の場合は「どう伝えるか」も大切だけど、「何を伝えるか」についても、教師がある程度道を示してあげるべきかなぁと思います。

 ということで、今日はガイダンスとアイディア・ジェネレイティングまで。

 次回からちょっとずつ書き始めます。そのプロセスが難しいですね。行きつ戻りつ、いろいろな手を試しながら、最後までみんなが書き上げられるように指導していきたいです。試行錯誤の様子は時々ブログでもご紹介しようと思います。