ぼくの最近の関心は、すっかり「テスティング」と「教材」なんです。ということで、本屋さんに行くと、つい学参売り場に立ち寄っていろいろ眺めてしまいます。
中学学参のトレンドは「やさしいもの」のようです。店頭には薄くて、淡い色のデザインで、かわいいフォントで書かれている参考書&問題集がずらりと並んでいます。
「やさしくわかりやすい」
「とってもやさしい」
「ホントにわかる」
「ひとつひとつわかりやすく」
「やさしくまるごと」
「わからないをわかるにかえる」
みんな「ひらがな」なのもなんかすごいですね。内容は正直、学校で買わせてる副教材の準拠ワークとそんなに変わらない気もします。あえて言えば、「やさしい」のはフォントくらい…? (言い換えれば、準拠ワークもずいぶん「やさしい」ものになってきてるということです。)
さて、上記の「ひらがな」シリーズもそうですが、中学学参はいわゆる文法順にひととおり勉強させるワーク類ばかり。「英作文」「英単語」「英文解釈」と技能別に教材が並ぶ高校学参コーナーやTOEIC対策コーナーとは対照的です。まぁ、中学生はそれほど教材にお金かけられないから、どうしてもこういう総合的なものになるんでしょうね。その中で、ちょっとおもしろいなと思って手にとったのが次の2冊。
ハイパー英語教室 音と体でおぼえる 中学英単語ノート [綴りと意味をマスターする]
- 作者: 大岩秀樹,安河内哲也
- 出版社/メーカー: ピアソン桐原
- 発売日: 2011/02/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ハイパー英語教室 音と体でおぼえる 中学英単語ドリル [問題で練習する]
- 作者: 大岩秀樹,安河内哲也
- 出版社/メーカー: ピアソン桐原
- 発売日: 2011/02/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「ノート」の方は、書き込み式の単語練習ページのあとに、それらの語が答えになる穴埋めディクテーション問題が続きます。ただ練習させるだけでなく、そのあとにそれが別の文脈で(別のスキル運用の中で)使えるかを試すのは、こういうワークにしては珍しいかな、と思います。CD付属の教材も増えたけど、ちゃんと使わせる仕組みになっているのがいいと思います。
「ドリル」の方は、(1)日本語に合う英単語を選んで書く、(2)穴埋めで英単語を書く、という普通の問題のあとに、(2)で完成した英文をCDに合わせて音読する、というタスク。穴埋めして終わり、ということが多いワークばかりの中、完成した英文そのものを体感できるのはよい作りだと思います。
どちらも元になる単語集があってのスピンオフ商品のようですけど、安河内さんプロデュースということもあって、音読へのこだわりを感じます。中学生向けでもCD付きが増えてきて嬉しいです。
最近新刊にリニューアルしましたが、いつもお世話になっているブログ「英語教育に物申す」の組田先生が出した『短文で覚える英単語1900』も前作からCD付きですね。
- 作者: 組田幸一郎
- 出版社/メーカー: 文英堂
- 発売日: 2013/11/01
- メディア: 単行本
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この本でも(前作から一貫して)CDを聞いて音読する、書き写す、といった具体的な勉強方法がガイドされています。こういう風に「単に穴埋めして終わり」「並べかえて終わり」ではない教材が増えてきたことは本当に嬉しいですね。
高校だと、単語帳を買わせて、何ページかずつ毎週単語テスト、みたいなのがよくあるかと思いますけど、中学だとほとんどないでしょうね。塾ではやってそうですけど。教科書の単語を練習させたい、と考えると、別にこういうのを投げ込むのは結構勇気が要ります。
ということで、ぼくだったら、この300個の英文で「グルグル」やるだろうなぁ。「単語集」というより「例文集」と考えると、今思えば、中2の子たちに今年度の頭にコレ買わせて、2年計画で使うのもよかったかなぁと後悔。(1年しか使わないのだと、1,200円の副教材を学校で買わせるのは負担が大きいのです)
自分自身の経験を振り返ると、高校時代、単語帳って嫌いでした。というか、単語テストが嫌いでした。理由は、その単語を覚えたらこんなことができるようになりますよ、という次のステージが示されてなかったからだと思います。「模試の点数」とかじゃなくて、もっと具体的にどんなことが英語でできるようになるかが学習者に示されるべきでしょう。そういう意味では、「◯単」という単語集だけでなく、「◯単でラクラク読める英語長文30」とか「◯単でスイスイ書ける50語エッセイ」とか、そんなスピンオフ教材こそ、必要なのではないでしょうか。
ということで、英単語集あれこれでした。
あ、ご紹介した桐原の2冊はちゃんと買いました。ここでレビューするからには、手元にあるものについて語ろうと思います。(短文1900の方は、組田先生のご厚意でいただきました。ありがとうございました。) 生徒の反応を見てみたいので、英語教室か学級文庫俺文庫に置いておくことにします。