ディクトグロスにおけるインプットの壁

 今日は某附属中の研究発表会に行ってきました。人の授業をじっくりと参観するのは久しぶりです。お世話になった方々にもお会いできて、とても実りのある会になりました。

 2年生の授業は、Reading(音読)からSpeakingへ。書いた原稿から目を離して話すというのはやはり難しいんだなぁ、と実感。赤黒2色刷が可能なら、英文の骨組みになる「お皿」の部分は予め赤字で印刷しておいて、「お肉」の部分は黒で書き込み、エイゴラボについてきた赤シートで隠して話すなんて手もアリかな。もしくは、よりプレゼンっぽさを意識させて、原稿書けたらキーワードだけピックアップして別の紙に書いて、それを見ながら話させるのもいいですね。

 いずれにしても、音読時の発音も綺麗な生徒でしたので、どうにかして「読む」から「話す」に持って行きたいですね。このへんは私の課題でもあるので、今後も考えていきたいです。

 さて、3年生の授業ではdictogloss(ディクトグロス)に取り組みました。今年は私も定期的に授業に取り入れているので、とてもとても興味深い授業でした。一番強く感じたことは、ディクトグロスは中学生の場合、「内容理解の壁」が思ったよりも高いなぁということです。そもそも再生するべき内容がちゃんと理解できてないと、活動が進まないですもんね。

 その点今日授業では、段階的に内容理解するQ&Aを入れてたり、「理解」のステップが私の授業よりずっと丁寧でした。それでも、理解している量(と質)に生徒によって大きな差があります。それならもっと詳しく(場合によっては日本語で)内容確認しちゃえばいいんだろうけど、そうなるともはやディクテーションさせた意味があんまりなくなって、「最初からキーワード与えて再生してみな」でいいじゃん、ということになりかねない。生徒がある程度理解できるレベルの英語の量と質じゃないとダメなんですね。

 そう考えると、過年度の他社教科書くらいの英文がちょうどいいんでしょうね。でも、あまり投げ込みでいろんな教材を(すくなくともじっくり時間をかけて)やっている余裕はないから、私としてはやっぱりその年の教科書本文をうまく活用してディクトグロスさせたいんです。(というか、ディクトグロスのほうを教科書を料理する手段として活用したいところです。)

 なんにしても、最低限再生しなくてはいけない英文の総量というか、目安みたいなものは生徒に示してあげたほうがいいような気がします。そういう意味で、再生の段階で4コマ漫画+キーワードくらい与えちゃってもいいんじゃないかなぁと思います。そうすると、"Pictogloss"になっちゃうかな。そんな活動あるのかは知らないけど。

 さて、もうひとつの課題は再生(復元)段階です。Pictionaryなどで単文の再生(復元)をやっているときはもっと正確に英文を産出できる生徒たちが、Dictoglossになると全然書けなくなっちゃうのは、それが複数文のまとまった英文だからなのか、音で理解したものを文字にすることの壁なのか、扱っている英文の難しさの問題なのか、課題をしっかり見極めたいです。

 個人的には英文の量による負荷が大きいんじゃないかなと思うのですが、ふだんの授業で扱っている教科書本文とどのくらい「近い」英文か、というのも影響しそう。英文というか内容のインプットの在り方について、今後何パターンか試してみたいです。

 いずれにしても、自分以外の人がDictoglossやってるのを生で見たのは今日初めてで、とても勉強になりました。来月あたり、私もこの手の活動で公開授業をやって、サークルでもビデオ公開しようかと思っていたところなので、今日の学びを整理してプランを練る参考にしようと思います。

 今日の授業を見ていて考えたことは他にありますが、長くなりそうなので、続きはまた今度。