中学生にも定期テストで「要約」問題

 期末テストも採点&返却完了しました。

 3年生は結構頑張ってくれているので、平均点が約70点と高めです。 これまでにも何度かご紹介してきましたが、私のテストの解答用紙の表面(リスニング、読解、文法の一部)は手動マークシート。裏面は語彙とライティング問題でひたすら英語を書くテストになります。

 毎回20語〜30語くらいで英文を書くライティング問題を2題くらい出してるんですけど、今回はそのうちの1つを「要約」にしてみました。読解問題のページに載っている200語程度の英文を50語〜60語でまとめる、というもの。英文は授業でやったばかりの教科書本文ですし、要約作業自体は、前レッスンで一度体験&添削を受けています。

 ライティング問題はいつも(1)語数、(2)内容・タスク条件、(3)スペリング・文法、の3観点で採点しますが、要約ですので写せばいいから語数それなりに書くでしょうし、スペリング等のミスもいつもより少なくなるでしょう。そうなると、重要になるのは、(2)の「内容」になります。といっても、書くべき内容そのものを自分でゼロから考える必要はありませんから、英文としての「まとまり」や「つながり」がポイントになります。

 とはいえ、中学生レベルでできることというと、代名詞や接続しなどの一貫性くらいでしょうか。実際、生徒の書いた要約文では、都合よく抜き出してきた文に"them"なんて語があって、その前の文をカットしたために「themって誰だよ?」というのが多数。他にも同様の理由で"soon"が不自然に登場するものも多かったです。

 また、どのエピソードを採用するかも重要なカギで、50語〜60語となると、まんべんなく全部紹介はできません。今回はStevie Wonderの半生(の一部)が題材でしたが、「生まれてから視力を失ったけどリズム感抜群で歌手デビュー」みたいな若い頃の話題を中心にまとめるか、そこはさらっと紹介して「事故にあって人生観が変わり、音楽を通して人を助けようと決意した」あたりを中心にまとめるか、を選ぶ必要があります。欲張ったために、若い頃の話の最後に「事故に遭いました」だけ書いて英文を終わらせちゃってる解答が多かったので、「あれじゃ読み手が『え?それで?』ってなっちゃうよ」というアドバイス

 それにしても、要約とはいえ中学生のテストの解答用紙に50語以上のまとまった量の英文が書いてあるって、結構圧巻です。生徒も時間ギリギリまでひーひー言いながら書いてましたが、解答用紙を見ると結構充実感があるんじゃないでしょうか。

 実際、これまでのテストではいつもあきらめて空欄になっていた生徒の中にも、この要約問題はほぼ完璧に書けていた生徒もいて、これまでのテスト結果だけを見て「この子は書く力がない」と断言しちゃうのは怖いな、と感じました。

 中学生のライティング問題というと、「量」とか「正確さ」とかばかりが測られがちですが、「何を書くか」というところはあえて一切無視した上で「どう書くか」を問うこういうタイプの問題も、もっと取り入れられていって欲しいと願っています。「キーワードやイラストから教科書英文の再生」とか「イラストや4コマ漫画を描写」みたいなタイプの問題も、その仲間と言えますかね。少し前から私が勝手に「答えのある自己表現」と呼んでいるヤツです。

 「何を書くか」を耕すことはもちろん大切ですが、英語教師が直接的に求められているのは「どう書くか」という骨組みのところの力を育てることだと思います。

 3学期も、さらに練習に取り組んでみようと思っています。