「英文法の基礎」って何なんだろう?

 昨日は教育センターで、10年経験者研修のお手伝いをしてきました。昨年までは初任者研修を担当していたので、一気にハードルが上がったというか、個人的には緊張感が増したお座敷でした。それぞれ経験も豊富で、目が肥えてるでしょうから。

 10年次の方にはどんなお話をするのがいいんだろう、としばらく悩みました。自分が10年次の時にはどんなことを考えて、どんなことを求めていたんだろう、と当時のブログ記事を読み返したりもしました。

 結局、最新の自分の関心事をぶつけてみることにしました。ちょうど自分が10年目以降に学んできたことや、やってきたことをお伝えする内容にしました。メインはいつもの「お肉とお皿」のお話。あとは発音と意味順、dictoglossなどの2.0的な活動のご紹介です。

 結果として、すごく手応えのあるワークショップになりました。「お肉とお皿」の話は初任研でもしているんですけど、たぶん10年次の方々の方が、それぞれがこれまでにおこなってきた授業(の手応えや反省など)を振り返って、いろいろ考えてくださっている感じが伝わってきました。やってよかったです。

 後半は高校籍の10年次の方々との交流セッションで、ワールドカフェ方式を用いて、中高の接続を考えました。高校の先生方は「英文法の基礎くらい身につけてきてほしい」と願っています。でも、その「英文法の基礎」って何なんだろう?というすり合わせが、これまでされてないままだったと思います。

 勤務されている高校の現状は様々でしょうから、「じゃあ、中学校で5段階で3の成績をもらってくる生徒に期待するのはどんな英語力ですか?」とあるグループに話題を振ってみると、その認識のギャップが明らかになって面白かったです。

 「中学レベルの初見の文章を黙読したあと、意味や文構造を考えながら音読できる力」とおっしゃった高校の先生がいらっしゃいました。英検3級の2次試験という感じですね。それを聞いた中学校教員はみな「それって4か5だよね」と反応します。私も現状ではそう思うんですけど、世間も(たぶん文科省も)本来はそれくらいを期待しているはずで、「無理!」と言っている場合ではないのだとも思います。教科書くらい自由に読めるようにして送り出したいけど、それって今のひとつひとつの文法をただ追いかけていくだけの授業だと、なかなか辿りつけない境地なのではないかな、とも思います。

 英語教育ブログの同時更新企画でも、「中学校卒業までに身に付けて欲しい英語力」という特集を組んだことがありますが、もっと中高教員で話し合っていくべきテーマだと思いました。私自身は、まさに前半の研修で語った「お肉とお皿」とか「意味順と発音」とかが、それにあたると思っているので、そういう意味でもタイムリーな研修の構成だったと思います。

 さて、高校の先生方からは(進学校勤務の方が多かったせいもあって)「受験」「文法」「現実」「同僚問題」という言葉が出てくることが多かったです。私は中学校しか経験がないので推測するばかりですが、きっといろんな足枷があるんだろうなぁと思います。でもそんな現状でもできることもたくさんあるんじゃないかとも思い、今回のようなセッションが、そういうチャレンジにつながるいい刺激になればいいなぁと感じました。

高校英語授業を知的にしたい −−内容理解・表面的会話中心の授業を超えて

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教科書だけで大学入試は突破できる (英語教育21世紀叢書)

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 久しぶりに英語教育モードになって勢いでブログ更新しています。私自身にとって、とても刺激になる研修だったんだと思います。夏休み中にあと2回お邪魔できますので、さらにいろいろ学んできたいと思います。

 あ、教師としてのキャリアを積まれた10年次の方々には、ぜひこれらの本も手にとっていただきたいです。共感していただけるお話がたくさんあると思います。さすがに昨日の官製研修の場ではご案内できなかったので、こちらで宣伝(笑)

成長する英語教師をめざして―新人教師・学生時代に読んでおきたい教師の語り

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