「どうやって英語を」から「どんな英語を」話すへ

 これまでも色々なお仕事を一緒にさせてもらってきた広島の上山先生から、新刊をご恵投いただきましたので、ご紹介します。しっかり読み終わってからレビューしようと思ってると、ずいぶん先になっちゃいますし、書く暇なかったりすると悪いので、今のうちに。夏休みですもんね。

 忙しい先生方が読みやすいように、見開き2ページにテーマごとにコンパクトにまとめた親切設計。こういうふうにまとめることができるのは、上山先生らしいなぁ。すごいなぁ。そして、本にメッセージを書いてくださったり、「おわりに」に名前を載せてくださったり、人との「つながり」を大切にする上山先生らしいお心配り。見習いたいです。

 さて、「英語で授業」や「4技能」がバズワードになってきてますので、高校などでも以前より「即興での会話・発表」などを求められるようで、これまであまりスピーキング活動に取り組んでこなかったという先生方には、生徒に話させるあの手この手がたくさん載っていて重宝されるのではないでしょうか。

 ただ、「生徒を動かす」というのはエネルギーも要りますし、生徒との関係も含めて、しっかりと準備しておかないと、(大げさに言えば)クラスが崩壊することだってあります。この本の最初の方に、そういったコツやポイントも書いてあるので、いきなり活動ページに飛ばないで、読んでおくのが大切ですね。

 さて、「スピーキング指導」という点で考えると、この本のように「どうやって(生徒に)話させるか」という知恵は、世の中にそれなりに蓄積されてきたなぁと思うのですが、その生徒の口から「どんな英語を発話させるか」というところを、今後はもっと議論していく必要があるでしょうね。中学校レベルでは、高校レベルでは、それぞれ(テーマや場面によっても変わるでしょうけど)何がどのくらいできることを期待すべきなのか。私が意味順にこだわるのも、そのへんに意味があるのですが。そこが共有されないままに「4技能!」と勝手に前に進んでしまうのは、怖いなぁと思うのです。