「ペンタスロン」に挑戦してくれた研究授業を参観

 今日は、中学校の授業を参観していました。

 西多摩地区の中教研行事にお招きいただき、指導者のお役目を務めてきました。授業者の先生が昔から私のブログ等を読んでいてくださっていて、今回指導者にご指名いただきました。私としても、自分が紹介した活動を実際にやってくださっている授業を生で拝見する貴重な機会でしたので、とても楽しみにしていました。

 とはいえ、「指導」って難しいですね。気がついたことをただ言うだけでもダメだし、改善の方法を一方的に提示しちゃうのもちょっと違う気もします。自分が参加者や授業者だったとして、どんな「指導」だったら面白く聞くかなと考えたのですが、自分自身はそんなふうに面白いお話ができなかったので反省しています。時間も限られているので、もっとポイントを絞ってお話しするべきでした。

 さて、今日拝見したのは、私がブログで「ペンタスロン」として紹介している活動です。私は3年生の受験直前に、受験対策と3年間の総仕上げとしてのスピーキング活動を両立する術として取り組んできましたが、今日は中学1年生が挑戦。発達段階や生徒の実態を考えて、4つの活動(読む、書く、聞く、話す)に絞った「テトラスロン」でした。


  それぞれの活動については、協議会でお話しできたので、結局あまり語れなかった(でも本来の一番の課題である)即興的なスピーキング活動について、少しだけ書いておきます。

 今回のスピーキングのセッションは、ALTと4〜5人の生徒たちで9分間英語で話す、という活動でした。トピックは、複数のカードから生徒たちがランダムに選ぶ形で、favorite musicやfavorite foodのようないわゆる「中学1年生向け」の「好きなもの」トピックでした。

 それぞれの生徒がカウンターを手に持ち、話した語数をカウントしながら、ALTとやり取りするのですが、この活動でどうやって「即興性」を伸ばせるかです。

 

 協議会で私が言ったのは、このタスクを繰り返すことで生徒たちにどんな力を伸ばして欲しいと授業者が願っているのか、ということです。「たくさん言えるようになる」という量にこだわるのか、「いろんな表現が使えるようになる」「より正確な発音で、スムーズに話せるようになる」といった質にこだわるのか。それが定まってないと、そしてその目標が生徒と共有されてないと、なんとなく「楽しかった」で終わってしまう恐れがあります。

 

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 例えば、中1の段階では「とにかくたくさん」と量を求めつつ、だんだん「この表現も入れてみよう」「音読の時と同じように、強弱をメリハリつけて話そう」といった質的な課題を追加していってもいいかも知れません。もちろん、最初から両方にこだわってもいいのですが、それが普段の授業で指導されていることが大前提になります。

 音読練習でスルーしている発音ミスを、会話の時にできて欲しいと願うのは無理があります。新出の時に練習したきりその文法が使えそうな場面をその後授業で示してなければ、会話でも出てこないと思います。今日の授業では、帯活動でおこなう「インプット(鉤括弧付き)」の活動が、そういう位置づけになるのだと思うのですが、その他の(今日に限らず)授業中にやっている活動も、最終的には鍛えたい「即興性」につながってるよなぁ、と感じました。

 

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 大切なのは「繰り返し」ですね。

 ペンタスロン(今日の生徒たちはテトラスロン)も、2回目、3回目があるから、自分の伸びが体感できるし(体感できるようなタスクになっていることが大事です)、文法も語彙も、スパイラルに何度も触れる機会が必要です。そして、その「繰り返し」の中で、例えば「意味順」のような軸(こっちも「体幹」だな)がしっかりと身について、それこそ太い背骨や大黒柱に育っていることを願いたいですね。

 授業の間、4セットともに一生懸命取り組んでいた生徒たち。きっと、次の機会には、少しでも「以前の自分」を超えるために、さらに頑張ってくれるんじゃないかな、と思います。授業者のK先生と生徒たちに感謝の一日でした。

 さて、こんな感じで、まだまだ迷いながらの指導者業務ですが、11月には埼玉県内で2回、お呼ばれしているので、次はもっと上手にお話できるように、経験を生かしていきたいです。

 久しぶりの中学校、楽しかった!