お知り合いの先生から「意味順を中学生3年生の授業で活用したいけど、どんな形で導入したらいいか」というご質問をいただいたので、ちょっとここでお返事を書いてみます。久しぶりのブログ更新なので、リハビリも兼ねて。
とはいえ、「意味順」英語指導については、まさにそういう本が出ましたので、詳細はそちらに譲ります。今日は、意味順をどういう枠組みで使うか、という大きめの話で。
例えば中3のこの時期に初めて意味順を導入するなら、中学英文法の再整理に役立ちそうですね。これまで習ってきた様々な英文法のルールは、「だれが」「する(です)」「だれ・なに」「どこ」「いつ」のどの位置で変化が生まれているのか、について意味順ボックスを使って考えてみるわけです。すると、多くの文法項目が「する(です)」に関わる事項であることが見えてきます。時制やら法、態に関わる部分だから当たり前ですよね。
一方で、「だれが」と「だれ・なに」を中心に絡んでくる文法事項もあります。動名詞や分詞の形容詞的用法、関係代名詞などが’そうですね。どれも名詞句を生成するのに必要な文法なので当然です。
「当然」とは書いたのですが、意外と中学生にはそういう文法の役割や機能が伝わってないと感じています。英文法の全体図が見えていないので助動詞のあとに不定詞を勉強しても、どれも同じようなものとして考えてる。そうじゃなくて、英文を作る上でどんな働きをしている文法なのかを視覚的に整理できるのが意味順のよいところかな、と思っています。
こういう文法の整理をしっかり1時間使ってまとめて考える授業をやるのもいいでしょうし、毎回5分ずつ1つの文法項目を取り上げて再整理する帯活動的な扱いも面白いですね。
さて、意味順を中3の授業に持ち込むもう一つの方法は、やっぱり英作文でしょうか。意味順ノートなどを使って、英語を書かせる指導は、そもそも意味順が得意な分野ですので、きっと生徒の英語力アップに役立つはずです。
このへんは前述の『「意味順」英語指導』に詳しいですが、一つだけご紹介すると最初に言いたいことを日本語のパーツに分割して意味順ボックスに置いてみる、という方法がオススメです。これって鶏と卵的なところがあって、英語が得意だから正しい分割&配置ができる、というのが確かですが、繰り返していくうちに(そしていい例を紹介していくうちに)結構上手に配置できるようになる生徒が多いと思います。日本語を使って英語の語順をマスターしていくっていうのはちょっと変な感じもありますが、そうやって日本語と英語とを行ったり来たりするためのステージが「意味順」だと思っていますので、このへんはまさに面目躍如です。
「意味順」を理解していることで、高校入学後に触れることになるであろう5文型の(文法用語はともかく)概念的な部分はほぼ理解できている状態になるので、中3のこの時期にあえて意味順を導入する価値はあると思っています。ぜひお試しいただけたらと思います。
そのへんのお話を語っているDVDもリリースされてますので、指導法の書籍と合わせてご案内しておきます。(結局宣伝)
久しぶりに何も考えずに書いてみたら結構楽しかったです。ここのところブログとNewsletter(メルマガ)とポッドキャストと商業出版の位置づけに悩んでて、発信が滞りがちだったのですが、やっぱりブログが一番縛りがなく表現できる場所なのでとりあえず迷ったらここに書いていきますかね。