「あんまりいい質問ではない」

 オリンピックの金メダリスト・ザギトワ選手が日本で受けたインタビューに関して、こんな記事が話題になりました。

http://news.livedoor.com/article/detail/14535235/
 たぶん、日本人選手が同じような対応をしたら批判さえされてしまうのではないかと思うので、自然にこんな対応をしてくれたザギトワさんに拍手!というべきか全力でごめんなさい!というべきか。

 結局日本のテレビ番組(メディア)にとっては、政治もスポーツも音楽も「消費する」対象でしかなくて、インタビュアーも、誰をゲストに迎えても同じようなことしか聞かない。先日の記事と同じで質問が「テンプレ化」している。「今、話題のある人」ということでしか、その人に関心を寄せていないのでしょうね。そして、それは「視聴者が求めていること」でもあるわけで、そういう意味では視聴者が変わっていかないと、番組の中身も変わっていかないですよね。

 よく考えてみると、こんなやりとりは学校の中でも見受けられます。例えば新しいALTが来た時なんかも自己紹介の後に「質問ある?」なんて聞くと「彼女(彼氏)いますか?」くらいしか質問が出ないことがあります。(あとは「好きな食べ物はなんですか?」くらいという思考停止) その時にきちんと「それは失礼な質問だ」と教えてあげないといけないですね。

 ただ、別にこういうことは「外国では失礼」というわけではないはずだから、教育実習生等に同じような質問が出た時に、やっぱりきちんと教えてあげないと、悪しき「定番」として残って行くでしょうね。(受け流して答えてしまうことも同罪ですね) そういう経験の積み重ねが、あのインタビューなわけで、別に特殊な話ではないわけです。

 失礼な質問をするメディア。噛み合わない質疑をする政治家。たくさんのそういうインプットを受けて、子供たちの「質問する」「質問に答える」という力の素地が出来上がっています。学校の中でできる「言語活動」なんて、総量もたかが知れています。財界や政治家も教育界に口出しをする前に、まずは自分たちのできるところで、子どもたちに豊かな言語環境を提供していく努力をして欲しいです。

 もちろん、教師の言葉も大切なインプットなので、もっともっと気を配らないといけないですね。そして、気になったときに、ちゃんとフィードバックをしてあげないと、子供たちも学ぶ機会を失ってしまいますね。

 それにしても、「人に質問する」って本当に難しいなぁと思います。その人に、本当の意味で関心を寄せるってどういうことなのか、考えさせられます。