言えることは英語で

 入学式・始業式も今日あたりまででしょうか。

 そろそろ英語の授業開きの準備に勤しんでいる方々も多いことでしょう。毎年、これは1年間徹底して継続しようと心に決めて指導に当たるのですが、なかなか継続していくのは難しいものですね。

 そんな中、ぼくがここのところこだわってやれていることの1つは、生徒に「言えることは英語で」言わせる、ということです。

 まぁ、どなたでもそういうことを仕向けてはいると思うのですが、大切なことは、こっちが「使って欲しい」と思っているフレーズを、ちゃんとインプットしておくことでしょう。

 そこで、4月は授業のウォーミングアップとして、ペアで弾丸インプット風に日本語→英語の暗記エクササイズをやっています。例えば、下記のような表現集を配布します。(詳しくは下の方でダウンロードできるので、そちらをご参照下し亜。基本的にはA4版1枚に20個の表現を載せておきます。以下はその一部です。

1 Let me try. その問題、ぼくにやらせて! [ ]
2 I know. Please ask me. わかる!ぼくに聞いて! [ ]
3 Well… / Let me see… えーっと… [ ]
4 Just a moment, please. ちょっと待って! [ ]
5 Once more, please. もう一度お願いします。 [ ]

 ペアでじゃんけんをして勝った方が出題、負けた方が答えるというスタイル。制限時間を設定して、時間で追い込んでいきます。だんだんタスクが厳しくなるように、到達度や時期に応じて複数のステージを用意しています。ステージの例としては、

ステージ 勝ち 負け 制限時間
日本語を読む 英語を読む 1分
日本語を読む 英語を読む 40秒
日本語を読む 紙を見ないで英語を言う 1分
ランダムに日本語を読む 紙を見ないで英語を言う 1分

といった枠組みが考えられます。ペアで用紙を交換して、相手が言えたら(読めたら)チェック欄を塗りつぶしていくようにしています。一応、相手の言葉をしっかり聞くという習慣を身につけさせたいので、相手が日本語を言い終わる前に言ってはいけない、というルールにしています。

 もちろん、片方が終わったら、役割を交代してもう一度やります。また、特別に学習ペアが組んである時などはリーダーが先に答える方にチャレンジさせる、ステージ3以降は相手が困ってたら最初の音を教えてあげてよい、など生徒の状況に応じてローカルルールを設定してもいいでしょう。

 さて、ここからがポイントですが、せっかく4月に覚えさせた表現なんですから、年間を通して使わせましょう。

 私はALTと協力して、プリントを配るときにわざと少なめに配って"One more paper please"を言わせてみたり、机の上の消しゴムを(ぼくが)落として、拾って上げて"Thank you"と言わせてみたりと、かなり強引に英語を引き出しています。(笑)

 生徒が日本語で乗り切ろうとした時には、「無視する」などの教育的配慮が重要になります。時間はかかりますが、そうやって追い込んでいかないと、使うようにはならないでしょう。1ヶ月くらいがんばると、生徒もあきらめますので、お試し下さい。

 1年生なんかは、"Let me try!"と言わないと、挙手しても当ててあげなあったりすると、すごく張り切って言ってくれるようになります。みんなと同じことを言ってては気づいてもらえないから、勝手に"Here!"とか違った表現を言おうとする生徒も出てきます。(全員でデモ行進のように"LET ME TRY! LET ME TRY!"の大合唱になってしまった時は参りました)

 ワークシートのダウンロードはこちらから。
www.dropbox.com

 一応ふりがなをふることもできるように、英語は少しだけ上寄りに印刷してあります。1年生なんかは、文字指導を一切する前にこれを配って練習しちゃいますけど、音で覚えちゃいますね。何より「繰り返すこと」と「使う機会を用意すること」で、定着の度合いはずいぶんよくなるかと思います。