ここのところ続けざまに文部科学大臣に向けてTwitterで呟き続けているので、呆れている人もいるかと思います。大臣の一連のツイートが本当に許せなくて、怒りに任せて書いています。
ありがとうございます!それを作ってきた人たちに「自分たちは専門家」と言われても… https://t.co/H5F8va4ujL
— 柴山昌彦 (@shiba_masa) August 31, 2019
これは中高6年間学校で英語を勉強してきてもビジネスレベルでは喋れなかった、という一般人のつぶやきに対する大臣のお返事です。だからここで「それ」が表しているのは、そういう個々の残念な英語力、あるいは学校英語の現状、ということなんでしょう。
でも、そもそもこれ、文部科学大臣言いますか? だって、学校教育、あるいは文科行政の責任者なんですよ。「十分に力をつけてあげられなくてごめんなさい」だったらまだわかるけど。
ここで大臣が言う「それを作ってきた人たち」というのは、文科省が進める英語教育政策、というか今回の大学入試改革、もっと言えば入試への民間検定活用に反対する人たちを指しています。「文科省は悪くない。お前らが『それ』を作ってきたんだ!」と。つまり「犯人」を吊し上げているんです。自分の意見に反対している人たちこそ犯人だ、と。
ぼくはこれがものすごく許せないわけです。
だって、これまで(その人が文部科学大臣になるずっと前から)文科行政のために力を尽くしてくれた多くの人たちにまったくリスペクトがないんです。現場で中高生に英語を教えている人たちは、これを聞いてどう思うと考えてるんでしょうね。まさにそういう現場の先生方を「それを作ってきた人たち」と言ってるのと同じなのに。
じゃあ、文科省は何をしてきたのか?(あるいはしてきてないのか?)
今回の改革は4技能4技能と聞こえはいいけど、そもそも文科省は全然予算を取っていないから、結局受験生が民間試験の受験料を払ったり、それにそなえてベ◯ッセなどの模試を受けるためにお金を払ったりと負担をする仕組みなわけです。自分たちは何もしてないのに、頑張っている人たちや色々な知恵を持ち寄ってくれる「専門家」を悪者にしています。
じゃあ大臣が考える「専門家」って誰なのか?
エキスパートはこう主張しています。 https://t.co/zPT4n55W2i pic.twitter.com/7l3mu5gIXW
— 柴山昌彦 (@shiba_masa) August 16, 2019
でもこれ、WEDGEという雑誌の特集ですけど、この特集で紹介されている「エキスパート」は3人で、そのうち2人は反対してる。たった1人の賛成者(しかも文科省の委員)の記事だけ切り取って、「エキスパートはこう言っている」と言ってるわけです。
より正確には、こうですよね?(写真参照)
— 大橋 穣二/英文構造図の館 (@George_Ohashi) August 19, 2019
※この『ウェッジ』7月号の特集2はタイトルからも明らかなように民間試験導入に批判的なスタンスで組まれたもので、PART 2 では賛否あわせて3名の意見が紹介されています。なのにどうして大臣はうち1名だけをエキスパートとして紹介したのでしょうか? pic.twitter.com/lkxATGpBEo
Twitterで見ている限り、大きな声で「賛成!」って言っている英語教育関係者は、たいてい個人塾とかで個別指導や少人数指導で英会話を教えている人たちです。彼らがそう主張すること自体は別に構わないし自然なことなんだけど、それじゃあ文科省は彼らと同じ環境を全国の中高の教室に作ってくれたんですか?と問いたいです。
だから冒頭の投稿で大臣が言うべきは、「学校の先生方は頑張ってくれてたんだけど、4技能じっくり育てるんだったら、やっぱり1クラス40人とかじゃ難しいよね。文科省としてクラスサイズ小さくしたり、先生増やしたりしてあげられなくて、十分な英語教育を提供してあげあられなくてごめんね」でしょう?
財務省と戦って、そういう予算勝ち取ってくるのが文科省のお仕事です。その上で結果を出せなければ教師が叩かれるのは仕方ないですけど、そういう環境を作ってもらってない。それでも今ある環境でのベストを尽くして、現場はそれぞれ「それ」を作ってきたわけです。
40人の教室で頑張ってきた人たちを「それを作ってきた人たち」と罵り、恵まれた環境で教えてきた民間の人たちを「専門家」と崇めるなんてありえない。それならそういう民間の方々を公立中学校に派遣して、一年間部活顧問とか学級担任とかやりながら、英語の授業頑張ってもらいましょうよ。日本の英語教育にプラスのはずです。
というわけで、大臣の真意を問うべく、つぶやき続けているわけです。
私があまりにもつぶやくものだから、大臣から2回ほど返信というか、引用リツートをいただきました。
今日の記者会見でコメントしています。 https://t.co/XUTXiVCE3R
— 柴山昌彦 (@shiba_masa) July 2, 2019
これは、検定活用からTOEICが離脱した際に大臣の考えを問いただしたのですが、この返答です。この会見で確かに大臣はコメントしましたが、記者から質問されるまで自分からは一切話題にしていません。
だから文部科学省が有識者の意見に基づき、新たな改革に取り組むのです。言語構造上のハンデは理解していますが、他国でできて日本でできないはずはない。柴山プランで遠隔授業やIT環境も充実させます。 https://t.co/eartAr2tfu
— 柴山昌彦 (@shiba_masa) September 1, 2019
これはまったく意味不明で、どうやら別の方が「言語間の距離」の話などを振ったみたいですけど、なぜか私のツイートに変身する形で全然関係ないことを書いています。「だから」が何を受けているのかわかりません。
そもそも別に大臣がTwitterをやる義務はないので、すべての質問に答える義理もないと思いますけど、わざわざ自分の意思で国民に返信するなら(引用するなら)ちゃんと元ツイート読んで欲しいし、こちらの意見に対するコメントをいただきたい。そういう心遣いがまったくないんですよね。人を道具のように思っているのかな? 忙しいのはわかるけど、それだったらTwitterやらないほうがいいと思います。
大臣を見ていて思ったのは、自分の言いたいことだけ言う人が増えたな、ということ。授業中の生徒も、積極的に発話しようとしている姿が見られれば「コミュニケーションへの関心意欲態度」をA評価にしたくなるけど、コミュニケーションって相互的なものなんだから「人の話を聞こうとする姿勢」がなければ、やっぱりBかCですよね。活動中の「発話数」だけで評価をつけちゃうと危ないな、なんて改めて思いました。
「サイレントマジョリティーは賛成です」とか「やじの権利保障されない」とか、ひどい発言は他にもたくさんあるんですけど、自分絡みで気になった点についてのみまとめました。
久々に長々とすみません。