「どんな」ボックスをちょい足しする

 「意味順」というキーワードでこのブログに辿り着く方もいらっしゃるかと思います。その割には、意味順そのものについてのお話や、意味順をどのように授業で活用しているかを書いたことがあまりなかったな、と気づきました。

 「意味順」は、学習法としてスタートしたと思いますけど、指導法としてもとても有意義だと思っています。そんな私なりの「意味順指導法」は、某所にまとめさせて頂いたこともあるんですけど、県外の方が目に触れることもないでしょうし、ここでも少しずつ書いていこうと思います。

 さて、意味順の基本的な並びはこうです。

 で、さっそくそんな意味順の根本に関わることに踏み込んじゃうんですけど、私はこの意味順に勝手にもうひとつ、「どんな」というボックスを追加したらどうかな、と思っています。

だれが する(です) だれ なに どんな どこ いつ

という感じです。

 意味順で中学生に指導することを考えた際に、どうしてもひっかかるのが形容詞の扱いです。「だれ・なに」ボックスに形容詞を入れて文を作るのが、中学生にはぴんとこない。だから、形容詞を「する(です)」ボックスに入れてしまう生徒が続出します。

だれが する(です) だれ・なに どこ いつ
Mr. Anfは 背が高い

 be動詞の感覚が身についていない、という事情と密接に関わってもいますが、そもそも「だれ・なに」というボックスに形容詞が入る感じ直感的にしない、という問題があるんだと思います。
 ここに、「どんな」という言葉を足してあげるだけで、ずいぶん印象が変わります。

だれが する(です) だれ なに どんな どこ いつ
Mr.Anfは です     背が高い    

 「だれ」「なに」「どんな」と3つのボックスに分けてしまうとそれも面倒なので、私は「だれ・なに・どんな」という1つのボックスで、中に仕切りがあって小分けにできる、というイメージで指導しています。こうすることで、

だれが する(です) だれ なに どんな どこ いつ
Mr.Anfは 弾く   ギター 上手に    

のように、副詞の位置も上手に説明できるようになります。

 まぁ、意味順の魅力は、

だれが する(です) だれ なに どこ いつ

というフレーズの語感にもあったりするので、「どんな」を無闇に足すのもどうかな、と思う部分もあります。なので、あくまでオプションとして、「だれ・なに」ボックスの中に隠しポケットのように潜んでいる、と教えるのもアリかもしれませんね。(本当は、例外をあまり作らないことが大切でもあるんですけどね)

 意味順に限らず、分構造を分類して指導されている方はたくさんいらっしゃって、それぞれに分類法があるかと思いますが、どれを使うにしても、使用者(生徒)が、原則をベースに柔軟に対応していくことができるように指導していくことが大切ですね。田地野先生も、そのへんのカスタマイズには理解をしてしてくださっていて、分類の種類はともかく「順番が変わらないこと」が大切なんだとご助言くださったことがあります。

 ということで、私がご紹介する意味順では、時々「どんな」ボックスが登場することもあるかと思いますが、何卒ご容赦を。

 具体的な指導法のあれこれについては、また次の機会に。