著者の魚住先生よりご恵投いただきました。どうもありがとうございます。
別にいただいた本だからリップサービスで言うわけではありませんが、とても面白い本です。だって、私と同じようなことを考えているんだもん。私が同じタイトルで本を書くとしても、同じような内容になるんじゃないかと思います。でも、ここまで緻密に整理してまとめる自信はありません。
教師の仕事は特殊です。
その特殊性を最大限に配慮して、とことん教師に特化した意味でのタスク管理の方法が語られています。「空き時間」という概念や「生徒」という「割り込みタスクをたくさんくれる存在」は、他のお仕事をされてる方にはイメージしづらいですもんね。そういう環境で、どうやって仕事を回していくかが整理されています。
面白いのは、「iPad仕事術」を謳っていますが、必ずしも最新のアプリをたくさん紹介することに重きが置かれているわけでもないように感じるところです。もちろんiPadのハードウエアとしての新機能も具体的なアプリ名も紹介はされていますが、それよりも「アウトライナー」とか「ノートアプリ」といった大きな括りでとらえて、それらのツールがどんな作業をするのに向いていて、なぜそれらは紙ではなくてパソコンでもなくて「iPadでやる」ことに意義があるのかを考えさせられます。
魚住先生は、「スクールプランニングノート」公式アンバサダーつながりでもあるので、この本の中でもノートの効果的な使い方が示されていて、アナログとデジタルのいいところをうまく使い分けるというポリシーも、とても共感できるところです。
そういう視点でこの本を読むと、教師という特殊性を越えて、スケジュール管理やタスク処理の方法を、日本の学校教師という「世界一忙しそうな職種の人」が実践している仕事術の本とみなすこともできるわけです。よく教師の研修に民間企業の人がやってくることがありますけど、優れた教師の知見って一般の人に提供できるレベルのものもたくさんあると思うので、こういう本が「教育」以外の書架にも並ぶといいなと思っています。
個人的には、コラムを一番楽しく読ませていただきました。もう頷きっぱなしです。「板書」ついて語ってるのなんて、私が『英語教育』5月号で書いた「ノート作りって必要?」とも重なります。教師が、自分たちの「やっていること」や「やらせていること」をもっとクリティカルに見つめ直すべきだなと感じます。今回のコロナによる休校は、期せずして教師自身の学校観や教育観が大きくアップデートされていく機会になっていますよね。
そして何より、魚住先生はHappyhacking Keyboard(HHKB)界の偉大な師匠でもあられます。今回の本でもHHKBを熱く語ってて、本当にさすがです。熱すぎるので、第6章もぜひ読んであげてください(笑)
この本は単なるiPadの操作法を越えて、教師としての「発想法」「思考術」といったことまで考えられる一冊だと思います、と書いていたら、魚住先生もブログでこんな記事を書かれてました。こちらもぜひ。