SAYURI


 
 制作スティーブン・スピルバーグ、音楽ジョン・ウィリアムス、監督ロブ・マーシャルとハリウッドの豪華スタッフで撮ったニッポンのゲイシャの世界。

 恐れていたほど「ガイジンのイメージによるニッポン」的な映像ではなかったので、自然に引き込まれて見ていました。出演者が(そもそも主演も)日本人だけではないことで、かえって変な期待をせずに見られたことも大きな要因かも知れません。でもハリウッドが作るとやっぱりあの色、あの空気になるんですね。不思議。

 個人的に気になったのは、やっぱり言葉の問題。原則英語でのやりとりで字幕。日本人の英語を字幕付きでみるのって不思議。すぐに慣れたんだけど、ところどころ「おかあさん」とか「ごめんください」とか、日本語の音が混ざると混乱します。(笑) 「操り人形ってパペットっていうんだぁ」なんて当たり前の発見が随所にあって面白かったです。

 キャストではやっぱりチャン・ツィイーが素敵ですね。今まであまり彼女の映画を見たことはなかったのですが、日本人好みな柔らかい笑顔がとっても魅力的でした。今更ですが結構ファンになっちゃったかも。過去の出演作も見てみようかなぁ。ダンスシーンもすごかったです。かなりお得意のようですね。中国ではそっちでも期待されてた人のようなので。特に後半のトップスターになっていくときの「舞い」は圧巻です。アジエンスかと思いましたよ。

 さゆりの子役の子も印象的でした。すごくいい目をしています。チャン・ツィイーもそうなんだけど、成長していくたびに美しくなっていくことを強調するためか、場面によってずいぶん雰囲気が違います。苦しいときはものすごく辛そう。輝いているときはものすごく輝いている。まぁ、シンデレラストーリーですから(まさにそんな話ですね、よく考えたら)、コントラストが激しい方がいいですけどね。

 インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイヤを見たときにも思ったけど(一緒にするなって?) ああやって「宿命」を背負って生きる人たちの話は哀しい。「自分の人生」を模索できる幸せを再確認した映画でした。