意味順合いの手音読&意味順同時通訳

 まだある程度の形になっていない、取り組んでいる最中の活動について書くのは久しぶりです。

 研修から戻って以来、「意味順」指導をどんな風に膨らませていこうかいろいろ考えていました。今1年生と2年生でやっているのは「意味順合いの手音読」と「意味順同時通訳」です。

 まずは「意味順合いの手音読」から。

 教科書本文を意味順のカタマリに分割したワークシートを配り、カタマリごとに和訳します。(これは言ってみれば「意味順訳読」) で、答え合わせまで終わったそのワークシートを使って、カタマリごとに区切って音読練習(リピート)します。その後、ちゃんと読めているか確認する意味もあり、リピートではなく自力で読ませるために、「意味順合いの手音読」をします。これはその昔、英授研関東で実践を伺った高橋正広先生の「マサ、アレやってよ」のアレですね。別名「日問英読」です。

Mr. O enjoyed the movie with his friend last Sunday.
Oさんは 楽しみました その映画 友達と一緒に 先週の日曜日

 上記のような英文であれば、

教師「誰が?」
生徒「Mr. O」
教師「どうしたって?」
生徒「enjoyed」
教師「何を?」
生徒「the movie」
教師「誰と?」
生徒「with his friend」
教師「いつ?」
生徒「last Sunday」

といった感じです。可能であればペアで交代で合いの手を入れながら練習させたいところですが、英文をぱっと見てこの合いの手を入れるというのは中学生にはさすがに難しいですね。専用のワークシートでも作れば別ですが。なので、ここでは教師→生徒で全体で練習します。

 さて、このあとはペアでおこなう「意味順同時通訳」です。

 って、そんなたいそうなものでもなく、ワークシートのカタマリごとにペアで日本語→英語に直していくだけの活動です。

 前述の英文であれば、こんな感じになります。

生徒A「Oさんは」
生徒B「Mr. O」
生徒A「楽しみました」
生徒B「enjoyed」
生徒A「その映画」
生徒B「the movie」
生徒A「友達と一緒に」
生徒B「with his friend」
生徒A「先週の日曜日」
生徒B「last Sunday」

 これだけだと「合いの手音読」より簡単です。なので、少し負荷をかけます。日本語を読み上げる生徒Aは、(自然につながるところは)いくつかのカタマリをつなげて日本語を読み上げさせるのです。なので、あるペアは、

生徒A「Oさんは」
生徒B「Mr. O」
生徒A「その映画を楽しみました」
生徒B「enjoyed the movie」

となるし、別のペアは、

生徒A「Oさんは楽しみました」
生徒B「Mr. O enjoyed」
生徒A「その映画」
生徒B「the movie」

となったりするわけです。だから、生徒Bは相手の日本語をよく聞いて、考えながら英文を読み上げていかなければならなくなります。これだと、意味処理も含めた音読練習になりますね。

 で、ぼくが興味を持ったのは、これをやっているときの生徒Aの頭の中です。この時って、強制的に(日本語ではあるけど)英語の意味順で考えているわけで、こういうプロセスをたくさん経験することが、話すにしても書くにしても、リニアに考えながら英文を産出するための基礎トレーニングになるんじゃないかなと思ったんです。

 生徒が慣れてくるまで、頭の中に「意味順」を無理強いする練習をやってみようと思います。その先に、どんな練習が可能になって、どんな効果が現れてくるのか、興味深いです。そして、この活動をただのトレーニングから抜けだして、コミュニケーションに役立つスキルにつなげていくための橋渡しを、もう少し練ってみたいです。

 ということで、12月の研究授業では、この「意味順」を核に据えた何かを、お見せできるといいかな。うまくいくかわかりませんけど((((;゚Д゚))))