例文からコンテクストを逆算で考える英文解釈

 少し前にご紹介した「新出単語で例文づくり」を、1レッスンに1〜2回やってますが、実際に生徒が作った例文を発表してもらっていると、いろいろツッコミたくなることがあります。「それはつまりどういうこと?」とか「その英文って、どんな時(場面で)に口にするんだろう?」とかいった疑問がいろいろ生まれるんです。だから率直に生徒に聞いちゃいます。

 madeで例文を作ってみよう、とした時には、学年主任の名前を主語にして、

Mr. M made a school.

 みたいな例文が出てきました。これに対して例えば「冠詞がaなのかtheなのかでこんな違いが生まれるよ」と説明した上で、生徒が本来表現したかった内容に近づけていく作業に入ります。

 でも、たぶん生徒は例文を作る際に漠然とした言葉のイメージしかなくて、そんな具体的なことを考えずに単語を並べている可能性があります。これが表現するべき事実(答え)が存在するふつうの自由英作文と一番異なるところかも知れません。ちょっと難しいのですが、だからこそ面白いところでもあります。単語の意味じゃなくて、そのつながりが生み出す意味やコンテクストを考える機会になるからです。

 実際、生徒の反応を見ながら「じゃあ動詞はbuiltの方がいいかな」とか「どこに作ったの?」とかいろいろ付け足していくと、最終的にうちの学年主任は10年前にカンボジアに学校を建てた偉い人になってたりする(笑)

 またplaneで例文を作った際には、

This is your plane.

って文が出てきて、be動詞を使った文を作ってくれたのがいいなと思い取り上げたけど、よく考えたらこのセリフ、どんな時に使うんだ?とみんなで考えました。

 結論として、「敵の追っ手から逃げている主人公が森の中を駆け抜け広場に出ると一機のプロペラ機が停まってて、主人公に向かって謎の紳士がひとこと」というよくわからないけどワクワクな場面につながりました。Thank you.と言ってプロペラ機に飛び乗る主人公が思い浮かぶわけです。

 こうやってじっくりと授業の中で取り上げられる例文は1つか2つでしょうけど、このプロセスを繰り返していく中で、生徒が冠詞の違いを考えたり、コンテクストを定めるために「どこ」「いつ」情報を最初から書くようになったり、変化が生まれてきているように思います。

 そしてこの活動を通して、人を笑わせたり、驚かせたりする文を創ろうとするクリエイティビティーを刺激できていればいいなぁと感じています。